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「覚悟が決まりました」春輝つくしが“メチャクチャにやり散らかし”てアイスリボンのトップに 8度目挑戦でベルトを巻けた理由とは?
posted2021/11/23 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
チャンピオンベルトは、ただ実力があれば獲ることができるというものではないらしい。“機が熟す”という言葉があるし、選手がベルトを巻くのではなくベルトが巻かれる選手を選ぶのだという者もいる。“縁”も関係してくるようだ。
同時代に強力なライバルがいたり、大事なところでケガをしたり。いつチャンピオンになってもおかしくないのに、なぜかチャンスを逃してしまう。この世界にはチャンピオンになる選手となれないまま終わる選手がいる。自分は後者なのではないか。そんな不安に駆られる選手もいる。
女子プロレス団体アイスリボンの主力選手である春輝(はるか)つくしも、実力はあるのにベルトを巻くことができないタイプだった。
「アイスリボンのトップに立つ覚悟」
小学生時代からアイスリボンで練習を重ね、2010年に12歳でデビュー。そのドロップキックをアジャコングに絶賛され、豊田真奈美からはコスチュームを譲り受けた。つくしも豊田をプロレス界の「ママ」と慕う。
タッグ王座、インターネット配信試合が対象の「IW19」王座は獲得したものの、頂点のベルトICE×∞を腰に巻くことができていなかった。60kg以下の「ICE×60」時代は戴冠したのだが、無差別になってからは7度挑戦して勝てず。
タイトルに体重制限がなくなったことと、つくしが身長148cmの小兵であることは、おそらく関係がない。長くトップ戦線で活躍しており、言ってみればICE×∞のベルト“だけ”縁がない状態が続いていたのだ。
「私自身も疑問に思ってます。実力は申し分ないのに、なんで1回も獲れないのか」
11月13日のビッグマッチ、大田区総合体育館大会での対戦が決まると、チャンピオンの藤本つかさは言った。
「なんで」かといえば気持ちの問題だとつくしは考えていた。今回の挑戦、これまでと何が違うかと聞かれて彼女は答えている。
「アイスリボンのトップに立つ。その覚悟が決まりました」