濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「覚悟が決まりました」春輝つくしが“メチャクチャにやり散らかし”てアイスリボンのトップに 8度目挑戦でベルトを巻けた理由とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/11/23 11:00
ICE×∞新チャンピオンとなった春輝つくし(中央)と、対戦した藤本つかさ(右)、豊田真奈美(左)
「このベルトを巻くまで、本当に長かった」
試合を見届けてくれた豊田をリングに招き、自分にベルトを巻いてほしいとつくしは言った。
「過去のことは消せないけど、今日、豊田さんからいただいたジャパニーズ・オーシャンでチャンピオンになることができました。これからアイスリボンを引っ張っていきます」
敗れた藤本は、豊田がつくしの腰にベルトを巻く光景をリングに残って見ていた。もうつくしは“見守る”存在ではなくなった。
「これからは“打倒つくし”でいくね。アイスリボンのトップとして胸を張っていい。もうためらわなくていいんだよ。これからよろしく頼むね」
ついに、とうとう、ようやく、つくしがICE×∞のチャンピオンになって、これからアイスリボンは新しい局面に入る。豊田が「ベルトを活かすのも殺すのもつくしの頑張りしだい」と言ったように、アイスリボンのトップとして相応しいかどうかが本当に問われるのはこれからだ。
「このベルトを巻くまで、本当に長かった。自分が思うんだから、お客さんはもっと思ってますよね。藤本つかさという人がいて、豊田真奈美という人がいるから、私はベルトを巻くことができました。アイスリボンの一番のベルトを巻いたので、これからはアイスリボンを女子プロレス界で一番にしたい」
試合後に鈴季すずを呼び込んで…
こういう時は、つくしの“大人”なところが出る。かと思うと「初防衛戦でやりたい相手がいるんです」と言って2代前の王者である鈴季すずをインタビュースペースに呼び込んだ。正確に言うと髪を掴んで引きずり込んだ。過去7度のタイトルマッチで敗れた相手に1人ずつリベンジしていきたいのだという。挑戦者に指名し、すずが了承すると「じゃあ決定で。帰ってもらっていい?」と蹴飛ばすつくし。メチャクチャなところはメチャクチャなのだった。
「自分は藤本つかさのようなチャンピオンにはなれない。雪妃真矢のようにもなれない。自分なりのアイスリボンを作っていきたいです」
ここまで本当にいろいろあった。長かった。今のつくしはメチャクチャだけど大人で、大人だけどメチャクチャだ。そんな彼女にしか作ることのできないアイスリボンが、きっとある。
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