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たむ&白川&ウナギ「コズエン」の物語は“愛憎混じったメロドラマ”…白いベルトをめぐる同門対決は何を意味するか?《スターダム》

posted2021/11/18 11:00

 
たむ&白川&ウナギ「コズエン」の物語は“愛憎混じったメロドラマ”…白いベルトをめぐる同門対決は何を意味するか?《スターダム》<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

コズミックエンジェルズの3人。左から、ウナギ・サヤカ、中野たむ、白川未奈。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 スターダムの“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座をかけた闘いは、2戦連続で同門対決となった。

 チャンピオンは中野たむ。今年3月、日本武道館大会でジュリアとの敗者髪切りマッチに勝ち、ベルトを手にした。

 11月3日の川崎市とどろきアリーナ大会、5度目の防衛戦でたむに挑戦したのはウナギ・サヤカだ。東京女子プロレスを離れスターダムに参戦して1年になるウナギは、たむが率いる「コズミック・エンジェルズ」のメンバー。東京女子でも一緒だった白川未奈と3人のユニット、通称コズエンは6人タッグ王座を獲得すると最多防衛記録を更新した。

 この秋、コズエンは新メンバー2人を迎えた。たむは白いベルトを守り続け、白川は夏にキャリア3年以内の選手が対象となるフューチャー・オブ・スターダム王座を奪取。王座決定トーナメント決勝の相手はウナギで、初防衛戦で白川からベルトを奪ったのも彼女だった。

たむと岩谷のドラマを断ち切るような挑戦表明

 ウナギがタイトルを失ったのは10月9日の大阪城ホール大会だ。琉悪夏にセコンドの介入もあって敗れた。するとその日のうちに白いベルトに挑戦表明。“丸腰”になってすぐに次の標的を決めたわけだ。しかも王者・たむはかつての盟友である岩谷麻優との激闘(30分フルタイムドロー)で防衛を果たしたばかり。たむと岩谷のドラマ、その余韻を断ち切るような行動だった。

「ウナギの行動力、破天荒なところはリスペクトします。大阪城でのあの試合の後に挑戦してくるハートの鋼鉄ぶりは凄い」

 タイトルマッチが決まると、たむは筆者のインタビューにそう語った。ただ、試合に向けてのウナギの言葉に怒りを感じるようにもなっていた。タッグリーグ公式戦、白川とのタッグで敗れた直後にも挑発されたのだ。

「私たちが負けた後で、ウナギはなんで(リーグ戦で)自分と組まないのかと言ってきた。それは白川にも失礼じゃないですか。そういうところで人間性、人としての厚みが分かる。それって試合にも出るんです」

 たむはウナギに対し、リング上で「調子に乗りすぎ」だとクギを刺した。強気ならいいというものではない、ということだ。だがウナギからすれば、強気でいるしかなかった。東京女子では“いち若手”だった選手が、スターダムでの1年間はタイトル争いの最前線。ボコボコにされながらスターダム流の激しいプロレスを体得してきた。

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