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“ミランのレジェンド” シェフチェンコはなぜアメリカ資本のジェノア新監督に就任したのか?<今季1勝、問題山積の古豪> 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/11/17 17:00

“ミランのレジェンド” シェフチェンコはなぜアメリカ資本のジェノア新監督に就任したのか?<今季1勝、問題山積の古豪><Number Web> photograph by Getty Images

低迷するジェノアの監督に就任したシェフチェンコ。ウクライナのレジェンドは「来シーズンもセリエAを戦うこと」を目標に掲げる

 買収が確定した直後、新経営陣は地元ファンへの御祝儀代わりとして本拠地「ルイジ・フェラーリス」での第6節ベローナ戦で、入場チケット1万1000枚相当を無料とする大盤振る舞いを敢行した。

 試合後に地元TV局のインタビューに応えた『777』社の創設者ジョッシュ・ワンダーは、スタジアムの熱気に高揚しながらはっきりとした口調で新生ジェノアの野心をぶち上げた。

「我々の目標? スクデットですよ! 我々は敗者となるためではなく勝つためにここへ来たのです! この先、トップに値するチーム作りをしていきます。見ていてください!」

 古豪ジェノア最後の優勝は1924年で、1世紀近く前まで遡る。子供たちに人形やボードゲームを売りまくってきた前会長プレツィオージがついぞ口にできなかった途方もない夢、それがスクデットだ。

「選手の何人かはセリエAでプレーするレベルにない」

 もちろん、損得勘定抜きでセリエAクラブを買う外国人投資家はいない。

『777』社は、将来的には本拠地ジェノバの空の玄関口であるクリストフォロ・コロンボ空港を通じた観光客や物流通運の大規模増に伴う収益増大を目論んでおり、「ジェノアはその起爆剤なのだ」と現地では囁かれている。

 おそらく、聡明なシェフチェンコはそんなパトロンの思惑も承知の上だろう。

 問題はジェノアのチーム状態だ。

 2010シーズンから通算4度監督を務め、チームを熟知する前任者バッラルディーニが「うちは結局ボロボロにならないと残留できない。選手の何人かはセリエAでプレーするレベルにない」と嘆いていたように、シーズンを通して計算できる選手が少なすぎる。

 フロントの補強戦略の悪手により、毎年移籍市場期限ギリギリでかき集められる選手は「もう何カ月もろくに試合をしていない選手ばかり」(バッラルディーニ)で、90分間走るスタミナも実戦勘も不足している。

 ここまで6得点のエースFWマッティア・デストロは好不調の波が大きい。及第点以上が与えられるのは、12試合で5得点を決めている主将ドメニコ・クリシートと守護神サルバトーレ・シリグ、MFニコロ・ロベッラくらいか。

 第12節のエンポリ戦でセリエA初ゴールを決めたFWフラビオ・ビアンキなど楽しみな若手もいるが、新経営陣は1月の移籍市場での補強を確約済み。シェフチェンコ新監督はひとまずクリスマス休暇までに少しでも順位を挽回しておきたいところだろう。

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