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「三強すべて馬券外」「3連単339万円超」なぜエリザベス女王杯で大波乱が起きたのか? 主役となった10番人気アカイイトの“大胆戦術”
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/11/15 11:15
10番人気ながらエリザベス女王杯を制したアカイイトと幸英明
単勝6490円、3連単339万3960円という大波乱
そう話した幸が実戦でアカイイトに乗るのは、これが初めてだった。
「調教に乗ったとき、少しムキになりやすいところがあったので、折り合いに気をつけようと思っていました。ゲートを上手く出せなかったのですが、向正面に入ったときには思いどおりの位置を取ることができました」
1000m通過が59秒0という比較的速い流れのなか、レイパパレ、アカイトリノムスメ、ウインマリリンといった有力どころは先行し、互いに牽制し合っていた。
アカイイトは、道中、それら「三強」から8馬身ほども後ろに控えて脚を溜め、最後に爆発させた。展開がハマったとはいえ、メンバー最速の上がり3ハロン35秒7の脚でひとマクリにして2馬身突き放すという強い内容だった。
単勝6490円。3連単339万3960円という大波乱の主役となった。
「ベガはベガでもホクトベガ」という実況で知られるエリザベス女王杯は1993年だったが、それから28年後の同レースは「アカはアカでもアカイイト」という結果になった。
キズナ産駒によるGI初制覇
前述したように、これがキズナ産駒によるGI初制覇だったのだが、2着のステラリアもキズナ産駒だった。
オーナーの岡浩二氏にとっても初のGIタイトル。岡氏は、今年の北九州記念で九州産馬としてJRA重賞初制覇を果たしたヨカヨカのオーナーとしても知られている。ヨカヨカはスプリンターズステークスを目指しての調教中に骨折、現役を退くことになった。そのヨカヨカの主戦騎手だったのが九州出身の幸だった。