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「ユウキは悪くない」レッドブルのイチャモンに関係者が角田裕毅を全面擁護した、メキシコGP予選のゴタゴタの真相
posted2021/11/10 06:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
「ツノダにつっかえてしまった!」
メキシコGPの予選でポールポジションを取れなかっただけでなく、ライバルであるメルセデスにフロントロウを独占されたレッドブルのクリスチャン・ホーナーは、予選後のテレビ局のインタビューにそう不満をぶちまけた。
ホーナーが指摘したのは、予選の最後のアタック中の角田裕毅についてだ。Q3に進出した角田は、自分がタイムアタックするためではなく、チームメートの空気抵抗を軽減するためにあえてホームストレートでチームメートの前を走っていた。ホームストレートを通過した後は自ら進路を譲り、あとはピットインするだけだった。
すると後方から、タイムアタックを行なっていたセルジオ・ペレスとマックス・フェルスタッペンの2台が接近してきた。そこで、チームは角田に対して「レッドブルの2台のアタックの邪魔はするな」と無線で指示を出す。だが、その場所がコーナーが連続するセクターだったため、角田は走行ラインを外してコース上にとどまるのではなく、コースの外へ出ることを決断する。
ところが、メキシコGPの舞台であるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは普段あまりレースが行われていないことと、乾燥した土地柄も関係して、埃っぽくなっていた。そのため、角田がコースの外に出ると砂埃が舞ってしまった。直後を走っていたセルジオ・ペレスは止まりきれずに、一緒にコースオフ。2台がコースの外に出たことでさらに大量の砂埃が舞い、その後方を走行していたマックス・フェルスタッペンは「だれかがクラッシュしているかもしれない」と思い、アクセルを緩めた。
これで自己ベストを更新できなかったレッドブル陣営は、混乱のきっかけを作ったとして不満の矛先を角田に向けた。
兄貴分レッドブルへの反発
アルファタウリはレッドブルのオーナーがチームを所有するレッドブルの姉妹チーム。兄貴分であるレッドブルに対しては、頭が上がらない関係だ。
ただし、今回は少し様子が違った。
まず、角田が所属するアルファタウリのフランツ・トスト代表が珍しく、レッドブル側の意見を否定した。
「ユウキは悪くない。彼はただ無線の指示に従っただけだ。むしろ、私はなぜペレスがコースオフしたのか理解できない」