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“父は東宝会長、母は宝塚スター”松岡修造54歳に 熱すぎる男が現役時代にこぼした弱音「このまま死んでしまいたい」
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2021/11/06 11:05
1995年のウィンブルドンで、日本人の男子選手62年ぶりとなるベスト8進出を決めた松岡修造
「長くやっていれば、一つくらいいいことはある」
ぶっきらぼうにも聞こえるが、日本を代表する選手としての期待をかけられながら若くしてラケットを置いた父から、決してあきらめなかった息子へのこれ以上ない労いだっただろう。
修造が自ら証明した「諦めずに頑張ればいつか報われる」
現役引退の記者会見はいつも以上に和やかだった。あれから日本のテニスプレーヤーの歴史的快挙はいくつも見てきたが、あのときの「苦しくてもテニスをやめなくて本当によかった」と語る日本の男子エースを囲んだ時間は、そのどれとも種類の違う幸福感があったと記憶している。「人間、諦めずに頑張ればいつか報われるのだ」という平凡な、説教じみた言葉に、あれほどしみじみと触れたことはない。
あれから26年が経った。今日11月6日に54歳の誕生日を迎える松岡修造の熱さは、現役時代よりも派手になったが、多分昔も今もその本質は同じだ。