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指揮官が賞賛する鎌田大地の「インテリジェンス」と長谷部誠の“ベテランらしさ” 苦しむフランクフルトで2人の評価が再上昇中
posted2021/11/04 17:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
3万5000人のサポーターが詰めかけたフランクフルトのドイチェ・バンク・アレナに、「オイローパーポカール!(ヨーロッパカップ)」の歌声が轟音で響き渡る。
10月21日に行われたヨーロッパリーグ・グループリーグ第3節のオリンピアコス戦だ。ドイツでは新型コロナウイルス対策の緩和が進み、ゴール裏にも熱狂が戻ってきた。朝晩の冷え込みが厳しくなってきている季節だけに、スタジアムの熱さが心地いい。
3バックへの変更でスタメン復帰
長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトは、ヨーロッパリーグでも結果を残している。2018-19シーズンに準決勝進出、19-20シーズンはベスト16。そして今シーズン、ここ4年で3度目となる欧州の舞台に挑戦している。
昨季はシーズン終盤までチャンピオンズリーグ出場を狙える位置につけていただけに、ファンには少なからず失望があったが、いざシーズンが始まるとヨーロッパを舞台にした大会は予想通り盛り上がっている。決勝トーナメント進出の可能性は低くない。そして、2人の日本人選手はこの試合で重要な働きを見せた。
開幕からしばらく出場機会に恵まれていなかった長谷部は、オリバー・グラスナー監督が3バックへの変更を決断した10月1日のロイアル・アントワープ戦からスタメン復帰。3バックのセンターでチームに落ち着きをもたらしている。
このオリンピアコス戦でもキャプテンを務め、試合開始前に主審、相手キャプテンとのやり取りが終わると、ポジションに散らばっていた選手を集めて檄を飛ばしていた。
2分、鋭い縦パスを鎌田に通して起点となると、9分にもFWゴンサロ・パシエンシアへ好パスを通す。開始早々から存在感を示し、ビルドアップからのパスの展開が滞っていたフランクフルトに確かな秩序をもたらした。
指揮官も「ファンタスティック」と賛辞
ボールを受けてからパスを出すまでの所作が美しい。この日、最終的に決勝点となったDFアルマミ・トゥーレのチーム2点目はCKの流れから生まれたが、CKへつながるパスを送ったのは長谷部だった。
もちろん、ノーミスというわけではない。サッカーはミスと隣り合わせのスポーツだ。39分には相手カウンターから右サイド裏のスペースへパスを許した。味方のクリアにより大事には至らなかったが、ダッシュでゴール前へ帰陣した長谷部は、ゴールネットを手で叩いて自身への怒りを露にしていた。
味方のボールの失い方が悪かった側面もあるが、カバーしきれなかったことを納得するわけにはいかないのだろう。