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《引退》鳥谷敬「怒るという感情は一番、無駄だよね」「始まりと終わりはセット」元阪神番記者のロッテ広報が明かす“18年間貫いた信念” 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2021/11/04 11:03

《引退》鳥谷敬「怒るという感情は一番、無駄だよね」「始まりと終わりはセット」元阪神番記者のロッテ広報が明かす“18年間貫いた信念”<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

引退会見で感謝の言葉を述べた鳥谷敬。涙なし、すべてをやり切った男の表情だった

 では、なぜそこまで自分をストイックに追い込めたのだろうか。

 引退会見でも鳥谷敬という自分を語る軸として本人は話をしていた。若い頃からずっと言い続けてきたこと。変わらない信念だった。

「世の中、なんでもそうなのだけど始まりがあるということは終わりがある。始まりと終わりはセットで、必ず終わる。それはすべてに通じる事。だからプロ野球に入団をしたという事は引退をするという事。自分はいつ引退になってもいいように日々を悔いがないように生きたいと思った。

 怪我をしている、疲労が溜まっている。だから休みたいとなる。でも、もし、じゃあ、明日で引退ねと言われたら、休みますか? と言われたら休まない。そういうこと」

 この信念は最後にグラウンドで行った選手への挨拶でも口にした。「誰にでも、現役の長い人もそうでない人も終わりは来ます。現役でいる時間を大事にして欲しい」と熱を込めて話すと、将来有望な若手選手たちは聞き入っていた。信念に基づき、1939試合連続出場を続けた大ベテランの想いは確かに伝わった。

「ずいぶんと自分を抑えつけていたなあ」

 そんな彼が新人の頃は一緒にお酒を飲む機会も多かった。「酒は飲んでも飲まれるな。これが一番大事なんですよ」。お酒好きで酒豪としても知られる男は口癖のように言っていた。あまりにもよく聞かされたので、この年になってもお酒を飲む機会があるたびにその時の情景と共に鳥谷の声が聞こえてくる。

 ルーキーは40歳になり、自らの決断でプロ野球人生に終止符を打った。引退を球団に伝えたのは10月31日で、引退会見は11月3日。急な展開だったが本人はいたって冷静。すっかり様変わりした生活を楽しんでいる。

【次ページ】 「学生の休日みたいな日々ですよ」

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