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「30世紀まで抜かれないと思ってた」真中満もドキドキ…“新・代打の神様”川端慎吾が元指揮官の記録に挑む《ヤクルト優勝》
posted2021/10/27 17:03
text by
真中満Mitsuru Manaka
photograph by
Nanae Suzuki
ヤクルトのセ・リーグ優勝はもちろん嬉しいです。ただ正直なところ、シーズン開始前は「Aクラスに入れば御の字かな」と予想していました(笑)。打線がいいのはわかっていたので、投手陣がどこまで頑張れるか、という評価でしたが、高津臣吾監督のマネジメントが見事でしたね。特にオールスター明けからは巨人や阪神とも互角以上に戦えていて、十分に優勝争いに加われる戦力が整ったように見えました。
下馬評が低いところから優勝するというのは、僕が監督をしていた2015年とよく似ています。あの年も最下位予想が多かったんですが、結果的に「なんとか見返してやろう」と選手たちが発奮した。もちろん気持ちが空回りしてしまうこともあるんですけど、今季は序盤から好調だったこともあって、チームもその気になっていけたんじゃないでしょうか。
「30世紀になっても抜かれない記録」のはずが…
そんな中で抜群の存在感を見せたのが、代打の切り札として大活躍した川端慎吾です。仮に今季のチームMVPを選ぶとなると、村上宗隆や山田哲人、あるいはホールドの新記録を達成した清水昇の名前が挙がると思いますが、川端をMVPに推すコアなスワローズファンも少なくないはず。代打であそこまでチームを盛り上げ、球場の雰囲気を変えられる選手はなかなかいない。数字に表れない部分の貢献度は計り知れないものがあると思います。
もちろん、僕があらためて言うまでもなく数字も凄い。打率.372、代打での安打数30(ともに10月27日時点)というのは、いくらなんでも打ちすぎという気もします(笑)。僕が2007年に31本という代打安打記録を達成したとき、この数字は「30世紀になっても抜かれないだろう」と思っていましたが、川端がここまで迫ってきて正直ドキドキしながら試合を見ていますよ! 残り2試合で1本打てば並ぶので、そこで終わってくれたらちょうどいいんですが(笑)。