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「アパパネとアカイトリノムスメは全く違う」国枝栄調教師が明かした“秋華賞母娘制覇”までの道のりと“ぶっつけ本番ローテ”の真相
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2021/10/20 17:02
秋華賞を勝利し、アパパネとの母娘制覇を成し遂げたアカイトリノムスメ
国枝師が「勝てる」と確信した瞬間
また、国枝調教師の目が利いたのは体重ばかりではなかった。
戸崎圭太騎手を背にしたアカイトリノムスメは好スタートを決めると馬群の外、6番手で最初のコーナーをカーブした。見守った国枝調教師はその時の様子を次のように語る。
「前を壁に出来なかったので、少しハミを噛んでしまったか? と思ったけど、すぐに落ち着いてくれました。だから、これならこの位置で良いと感じて見ていました」
最初の1000メートルは61秒2。このラップを見た時、尚更そんな気持ちは強くなったと言う。
そして、3~4コーナーでは外からねじ伏せるように前を捉えに行き、最後の直線へ向いた。
「ソダシに札幌記念の時のように走られたらかなわないと思っていました。でも直線に向いたら案外手応えが悪い。対してアカイトリは良い感じで上がっていったので『良いぞ』という思いでした。ただ、ファインルージュやアンドヴァラナウトも良い感じで伸びていたので、勝てると確信したのはラスト100か150メートルくらいになってからでした」
国枝師との“三代に渡るつながり”が生んだ母娘制覇
結果、アカイトリノムスメは、アパパネとの秋華賞母娘制覇を成し遂げた。これが自身のJRA通算20回目のGI制覇となった国枝調教師は言う。
「調教師としては三代にわたって面倒を見させていただき、ソルティビッド、アパパネ、アカイトリノムスメはそれぞれ違うタイプだったけど結果を残せたのが嬉しかったです」
次なるターゲットはエリザベス女王杯(GI)か、はたまたジャパンC(GI)か。いずれにしても本格化した超良血馬から目が離せそうにない。