プロレス写真記者の眼BACK NUMBER

「ぶん殴ってやりました」木谷オーナーに強烈ビンタ…“運命の闇墜ち”を遂げたスターライト・キッドが目論む「岩谷麻優超え」 

text by

原悦生

原悦生Essei Hara

PROFILE

photograph byEssei Hara

posted2021/10/20 17:01

「ぶん殴ってやりました」木谷オーナーに強烈ビンタ…“運命の闇墜ち”を遂げたスターライト・キッドが目論む「岩谷麻優超え」<Number Web> photograph by Essei Hara

黒い虎に生まれ変わり、ハイスピード王者となったスターライト・キッド。その不敵な表情にベビーフェイスの面影はない

「チャンピオンの私としては、大きな会場ではタイトルマッチをしたいと思っていたのに、勝手にあのカードが組まれた。リマッチということだけど、私は渡辺桃にシンデレラトーナメントと5★STAR GPで2連勝しているから、何のメリットもない。なんか面白くないなぁ、と記者会見でハイスピードの話をふっかけたら『いらない!』ってすごくキレられた。そんなのただ強がっているだけ。大きな会場で普通のシングルマッチをするのと、タイトルマッチをするのと、どっちが渡辺桃にとってプラスなのか。

 私はリスクを背負ってやろうとしている。スターダムを盛り上げようとしている。渡辺桃は『赤いベルトしかいらない』というけれど、でも、どうなんでしょうね。ちょっと寄り道しても面白いんじゃない? それだけにとらわれる必要はない。私もハイスピードってずっと言ってきたけど、白いベルトに挑戦したこともあった。タッグもやってきた。

 渡辺桃が『ハイスピードはいらない』というのは、ハイスピードを取れなかった過去の自分を無理やり消したいんじゃないの。やるだけ、やってみればいいじゃない。チャンスがあったら、私は何にでも挑戦する。渡辺桃はもったいないことしてる。赤だけにこだわっていたらね」

 スターダムでは10月17日からタッグリーグ戦が始まったが、キッドは琉悪夏と「黒虎怪童(こっこかいどう)」なる若さあふれる勢いのあるタッグチームを結成して、いきなり渡辺桃&AZM組(MOMOAZ)と対戦した。試合は双方譲らず、時間切れで引き分け。試合終了後、キッドは渡辺をまたも挑発した。渡辺はさらにブチギレた。そして、キッドの誘いに乗り、ハイスピード王座を奪い「その場で返上する」と言い放った。

「黒虎怪童にとってはおいしい。MOMOAZは昨年の優勝チームだし。大きすぎる存在。AZMは永遠のライバル。何も言わなくても通じ合えるものがあると思うから。

 今は渡辺桃にロックオン。AZMは渡辺桃がハイスピードに挑戦するとは思わないだろうから、挑戦が決まったらAZMはどう思うのかなって。私は無理やりにでも渡辺桃をダーク・ハイスピード・ワールドに引きずり込みますけどね。フフフッ」

 11月3日の川崎が楽しみになった。

ベビーフェイスよりも「黒」が似合う?

 もともと岩谷麻優が率いるSTARSに所属していたキッドだったが、今年6月、大江戸隊との“全面戦争”に敗れ、強制的に大江戸隊に入れられることにより、“闇堕ち”した。

「デビューから“アイコン”と呼ばれる岩谷麻優の近くで、ずっとベビーフェイスの優等生キャラでやって来た。ただ、いざ黒くなってみると、黒の方が似合うのかな。お客さんの反応もこっちの方がいいし。みんなこっちの方が好きなんじゃないの?

 もともと黒は好きで、黒いコスチュームを着たいという願望があった。だから、STARSの時に1回、ピンクと黒のコスチュームを着たこともあった。黒って格好良くて強く見えるなと思った。ちっちゃい、速いみたいなイメージのある人たちって、ヘビー級にはかなわない、強さをあまり表に出せないっていうのがあった。

 黒くなったから強くなったわけではないけれど、見た目からすべて変えて自分の中身も変えた。今まではパワー系の技をやろうと思わなかったけど『黒虎天罰』という新技も披露できたしね。黒くなったキッドとしての代表的な技がほしいなって思ってたから、ブラックタイガーのパイルドライバーを調べたりして」

【次ページ】 「今でも大好き」岩谷麻優を超えるために選んだ道

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
スターライト・キッド
岩谷麻優
渡辺桃
スターダム
木谷高明
大江戸隊

プロレスの前後の記事

ページトップ