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「ぶん殴ってやりました」木谷オーナーに強烈ビンタ…“運命の闇墜ち”を遂げたスターライト・キッドが目論む「岩谷麻優超え」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/10/20 17:01
黒い虎に生まれ変わり、ハイスピード王者となったスターライト・キッド。その不敵な表情にベビーフェイスの面影はない
キッドは体が小さくて、細かった。しかし、デビューできる技術はあった。「子供っぽいから」という理由でマスクマンになることになった。当時の社長(現・エグゼクティブプロデューサー)ロッシー小川は、最初は「スター・キッド」という名前を考えていたが、デビュー時にはライトが加えられて「スターライト・キッド」に変わっていた。
「素顔でやりたいという願望もなくて、マスクマンでやりたいとも思っていなかった。でも、今ではマスクマンでよかったと思ってる。だって1人しかいないから、目立てるじゃないですか」
そう言われてみると、スターダムにはマスクを被り、それを手にして入場するレスラーはいるけれど、闘う覆面レスラーはスターライト・キッド1人だけだ。
「勉強は嫌い。テストはすごい点数ばかり(笑)」
0歳からプロレスの記憶があるというキッドは、いったいどんな子供だったのだろうか。
「小学校のころは大の学校嫌い。1年生の時は、『学校に行きたくない』って泣いて。親は大変だったんじゃないかな。無理やり連れてかれたこともある。行ったら行ったで、たぶん学校ではちゃんとしていたと思うけど、行くまでが嫌だったのかも(笑)」
キッドにとっては学校より家族のいる家の方が、居心地がよかったのかもしれない。
「勉強は嫌い。中学校の時はマジでテスト勉強しなくて、すごい(悪い)点数ばかり取っていた(笑)。技術家庭とか体育とか副教科はいいんですけど、メインの5教科は全く勉強しなかった。
高校では前日から徹夜で頑張って一時的に暗記する。そのテストではいい点を取る。でも、地道に頭に入れるわけじゃないから、総合的な学力テストになると全然ダメ。勉強ができるタイプでは決してないです。STARSの時は、優等生のいい子ちゃんキャラでやってましたけどね」
キッドは何人もの友達と過ごすのが苦手だったようだ。
「大人数に入れない、少人数でいたい。2人がいい。4人がギリギリ。5人になると面倒くさくなっちゃう。以前はひとりぼっちが無理だったけど、大人になってくると『1人の時間も大事だな』って思うようになりました」
5つ離れた弟がいる。小さい時は一緒にいたが、男の子だからそこまで仲がいいわけでもない。今は離れて暮らしているのであまり会うこともない。そんな弟も今は受験生だという。
「渡辺桃にロックオン」挑発の末にタイトル戦が決定
11月3日のとどろきアリーナ(川崎)では渡辺桃と闘う。当初、ただのシングルマッチとして発表されたことにキッドは不満だった。