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「僕は目を背けようとしていたので」斎藤佑樹が引退試合後に語った“第二の斎藤佑樹”への助言とは《ドキュメント“最後の2日間”》
text by
田村航平(文藝春秋)Kohei Tamura
photograph byKYODO
posted2021/10/18 11:03
引退セレモニーで胴上げされる斎藤佑樹。プロ11年、89試合15勝26敗。「僕が持っているのは最高の仲間です」と言葉を残してユニフォームを脱いだ
すべてが終わってから、斎藤に聞いた。重圧に苦しんだ時期を、どのように乗り越えたのか――野球界にはこれから「第二の斎藤佑樹」が生まれるかもしれないから、未来のヒーローのために経験談を聞かせてほしい、と。
「それは……教えられることじゃないと思う。その時間をしっかりと、味わってほしいな。僕はそういう状況から目を背けようとしていたので。でも、そうするべきじゃなかった。味わった方が良かったな」
午後7時30分、斎藤は「ありがとうございました」と一礼して報道陣の前から姿を消した。最後まで、斎藤の周りには笑顔が溢れていた。斎藤がファイターズで、多くの人に愛されてきたことがよくわかる2日間だった。
少なくともこの2日間、彼は斎藤佑樹としての野球人生を存分に味わうことができたはずだ。
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