この変化は、エースのロシターが退団した影響が大きいだろう。安齋HCは「去年まではずっとやってきたメンバーにマコ（比江島）が入ってきたので、あまり強調する感じにはならなかった」と明かし、「今季はマコ本人が、チームの勝敗の責任を持とうとしていると強く感じています」と続けた。

　延長の末に敗れた群馬戦の2戦と、2点差というシチュエーションになった川崎の第二戦。安齋HCはこの3戦すべてのラストプレーを比江島に託した。結果は残念ながら振るわなかったが、ヘッドコーチ、スタッフ、そしてチームメイトが比江島から沸き立つ覚悟をしっかりと受け止めている様子がうかがえた。

　比江島も「去年と同じオフェンスのクオリティでは、チームとしても個人としても物足りない」と真っすぐに語り、自身の役割について言及した。

「去年とは状況が違うので、ハンドラー的な役割をふくめてもっとアグレッシブにやっていきたい。その上で、大事な場面でチームに勢いを与え、勝利に導けるようなプレーをやっていきたいと思います」

試合ごとに深まる一体感

　第二戦後の会見に登壇した田臥が、こんなことを話していた。

「今季のメンバーからは、例年以上に『全員バスケットをやる』という意識を感じます。まだシーズン序盤ですが、フロアにダイブしてボールをもぎ取ろうという気持ちが全員から出ているし、新外国籍選手たちも『早くチームにフィットしよう』と意識してくれているのがよく伝わる。僕ら日本人選手たちも、彼らの頑張りを受けて『うまくチームを作っていこう』という意識が強まっています。この一体感はシーズンを重ねれば重ねるほど強くなっていくだろうと感じています」

開幕から4試合で13分27秒という短い出場時間ながら、効果的なプレーでチームに貢献しているベテラン田臥

　主軸の退団という逆境に吹き込んだ新しい風を、宇都宮の面々は心地よく受け止めている。小さなそよ風が次第にうねりを上げ、旋風となるときが今から楽しみだ。