バスケットボールPRESSBACK NUMBER
朗報! エース比江島慎に“突出したオフェンス力”が戻る…主軸2人が抜けた宇都宮ブレックスが“旋風”を巻き起こすか
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byB.LEAGUE
posted2021/10/15 11:00
東京五輪では日本代表として世界の強豪を相手にプレー。その時得たインスピレーションが今季のプレーにも繋がっているという
川崎との第一戦ではターンオーバーからのファストブレイクで16得点。ジョシュ・スコットやアイザック・フォトゥのリバウンドから鵤誠司が素早い展開を演出した。
チームの代名詞とも言える強度の高いディフェンスに関しても、今季は少し目先が変わりそうだ。川崎戦ではこれまでになくゾーンディフェンスを多く使い、その中でもポイントを細かに変化させた。第一戦ではこれが奏効し、見事川崎を翻弄させることに成功。川崎の佐藤賢次HCは第一戦後、「宇都宮さんのディフェンスの変化になかなかついていけず、チームでなく人で攻める形になってしまった」と振り返っている。
安齋HCはこのような戦い方を選択した理由を説明する。
「ゾーンはやられどころを作りやすいので、あえて“見せる”ために使う以外ではあまり積極的に使ってきませんでした。ただ、やっぱり何か仕掛けなければいけないというか、今年の選手はこういったスタイルも武器になりそうだなと。この試合に限らず、うまく使えるようになればいいのかなと思っています」
また、このシリーズでは、田臥勇太や竹内公輔といったベテラン勢が短いプレータイムの中でしっかりと仕事を果たし、鵤は積極的に得点を狙いに行き、ルーキーの荒谷裕秀もコート上で強豪・川崎の肌感覚を得た。
存在感を高めたエース比江島
そして、宇都宮だけでなく日本バスケット界にとっても朗報と言えるのが、“エース・比江島慎”の帰還だ。
学生時代もプロになってからも、一貫してチームのエースとして活躍し続けた比江島だが、2018-19シーズンに宇都宮に移籍してからは、その突出したオフェンス力を発揮するシチュエーションにあまり恵まれなかった。
SNS上で周期的に「オフェンス力を発揮できないなら宇都宮に行くべきではなかったのでは」という大論争が巻き起こるほど、誰もが動向を気にせずにいられない男は今季、オフェンス面で目をみはるような変化を見せている。開幕からの4試合のうち3試合で2ケタ得点を挙げ、川崎戦でも第一戦で13得点5リバウンド6アシスト、第二戦で17得点4スティール(6被ファール)。ボールを持つ時間が見て取れるほどに増えている。