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【ドラフト阪神1位】森木大智(高知高)、プロ野球スカウトの本音は?「早熟だけで中学150キロは投げられない」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2021/10/11 18:15
筆者が「ドラフト中間予想」でピッチャー部門1位に選んだ森木大智(高知高)。プロ野球スカウトの評価は?
ドラフト、ピッチャー部門1位に推せる理由
そして、5月1日、宿敵・明徳義塾高との決勝戦だ。この日は、埼玉県大会の上尾市民球場から、森木投手と高知高の勝負のゆくえを案じていた。
高知・森木、明徳義塾・代木大和…両校ともエースピッチャーを温存して、6対1で高知リードの最終回に、リリーフのマウンドに上がった森木。5点リードとはいえ、無死満塁の大ピンチに、150キロ台の剛速球を続けて明徳打線を圧倒。「春の四国」を制してみせた。
こういう場面で、今まではやられていた男だ。そこを、胃袋が口から飛び出そうな瀬戸際の場面で踏みとどまり、先発しない代わりに打者として、チェンジアップ系にのめりながらもレフトスタンドに持っていって、「勝ち運」を自ら引っ張り込んできたここ一番での強さ。
四国を制する快挙と共に、今までの彼になかったものを、いっぺんに2つも現実のものにしたことが、「逸材・森木大智」にとっては何より大きかったのではないか。
この時点で、私の中の「2021ドラフト・投手部門No.1」は、高知・森木に決まった。
スカウトの評価は?「早熟は150キロ投げられない」
この春の森木大智を、実際に見て確かめていたスカウトの方たちに訊いてみた。
「センバツで投げた小園(健太・市立和歌山)や達(孝太・天理)や畔柳(亨丞・中京大中京)も確かに逸材には違いないけど、『甲子園』という晴れ舞台で投げてると、すごくいいピッチャーに見えてしまう……ってこともある。この大会の森木の場合、こんなこと言っては怒られるけど、四国のローカルな球場で投げても、ものすごくオーラを感じた。この四国大会でのピッチングを、そのまま甲子園でやってのけたら、それこそ、キラッキラでしょう」
もうだいぶ昔のことになるが、「東京ドーム」になる前の後楽園球場は、ネット裏の傾斜がとても見やすく出来ており、たとえば、社会人の都市対抗野球など、ネット裏の席から見ていると、2割から3割方、実際よりよい選手に見えるから、スカウトは気をつけなければならない……そんな「都市伝説」のようなホントの話を、スカウト歴20年の方から教えていただいたことがある。