酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「0点に抑える確率95.2%」 カープ栗林良吏は“新人で30セーブ以上”与田剛・山崎康晃と比べても最強級のクローザー〈週刊セパ記録〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/28 06:01
栗林良吏は球団新人最多記録の26セーブをすでにマークした。あと「4」を積み上げ、大台に乗せることはできるか
東京オリンピックでも侍ジャパンのクローザーとして投げ、5登板で2勝3セーブと圧倒的な活躍だった。筆者は五輪での全試合登板が、その後のペナントレースの成績に影響しないかと危惧したが……。
前半戦(3~7月)34試合0勝1敗18S 0H 33.2回 率0.54
後半戦(8~9月)8試合0勝0敗8S 0H 8回 率0.00
佐々岡監督は、後半戦は栗林に無理をさせず、登板間隔を空けて起用したが、登板した8試合をすべて零封して8セーブ。クオリティを維持している。
セーブ記録はチームの勝敗と連動している。どれだけ好投しても味方が勝たなければ、セーブはつかない。セ・リーグでは阪神のスアレスが34セーブ、栗林は26セーブで2位。ここからの逆転でのタイトル獲得はかなり厳しい。
42登板で失点したのは2試合、ともに1失点のみ
しかし、投球内容で見ると栗林は抜群の数字を残している。
<セ6球団・主なクローザーの投手成績>
スアレス(神)51試1勝1敗34S 0H 50.1回 率1.43
栗林良吏(広)42試0勝1敗26S 0H 41.2回 率0.43
マクガフ(ヤ)53試2勝1敗23S 14H 51.2回 率2.61
三嶋一輝(De)52試1勝5敗21S 1H 49.2回 率3.99
R・マルティネス(中)40試0勝3敗19S 0H 39.1回 率2.06
ビエイラ(巨)48試0勝1敗16S 1H 48回 率2.63
防御率も素晴らしいが、零封した試合数を比較すると、栗林のすごさが際立ってくる。以下は零封した試合/登板試合数。セーブシチュエーション以外の試合も含む。
スアレス(神)47零封/51登板 零封率92.2%
栗林良吏(広)40零封/42登板 零封率95.2%
マクガフ(ヤ)45零封/53登板 零封率84.9%
三嶋一輝(De)41零封/52登板 零封率78.8%
R・マルティネス(中)36零封/40登板 零封率90.0%
ビエイラ(巨)41零封/48登板 零封率85.4%
栗林は2試合で失点しただけ。しかも2試合とも失点は「1」。他のクローザーが2点以上失点した試合がある中で、ほぼ完璧に近い投球内容だった。
新人王・山崎康晃と与田の成績はどうだった?
今後の活躍次第で、栗林は30セーブに到達する可能性がある。新人での30セーブ以上はこれまで2人いる。