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マスターズ優勝、8年連続トップ30入り…“快挙”を積み重ねる松山英樹の焦燥感「いつそうなるかわからないという不安がある」 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2021/09/28 11:06

マスターズ優勝、8年連続トップ30入り…“快挙”を積み重ねる松山英樹の焦燥感「いつそうなるかわからないという不安がある」<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

8年連続で“30人だけ”が許される最終戦に進出して昨季を締めくくった松山英樹。新シーズンの開幕戦では6位タイと好スタートを切った

 過去15シーズンで最終戦に進出した選手はのべ151人いる。出場が1回という選手が2008年の今田竜二を含めてうち61人、2回が32人いる。

 ジョンソンの13回というのはすでに最多進出記録で、2番目がジャスティン・ローズの計10回。次が9回でフィル・ミケルソンとマット・クーチャーのふたり、松山を含む10人が並ぶ8回は5位タイ。その数字を本格参戦開始の2014年からずっと積み上げてきたのだから、驚異的と捉えられている。

 ジョンソン、リードと違う点でひとつ忘れてならないのが、松山は外国人選手であるということだ。生まれ育った日本を飛び出し、異国の地でこの期間を過ごしてきた。慣れない環境で、衣食住の日々のトラブルも乗り越えながら実績をつくってきたことは筆舌に尽くしがたい。

 毎年チャンピオンが出るマスターズの優勝と、史上数人しかいない連続記録。歴史、伝統の違いからこれもまた比べようもないが、群雄割拠の最高峰ツアーで彼らのように長い時間、存在感を示しているのも紛れもない価値である。

過去8年で最も少なかったトップ10入り

 そうしてまたエリート街道の歩みを進めた松山ではあるが、昨シーズンは求める結果でワーストの部門があった。トップ10入りがマスターズを含めて3回だけ。過去8年で最も少なかった。最終戦を戦った30人中、スチュワート・シンクと並ぶ最少で、トップのジョン・ラームには15回と大きく水をあけられた。

 マスターズ制覇という事実がすべてをよしとしているようで、1年を通しては結果の面で苦しんだ時間のほうが長かったともいえるのだ。

 安定感の欠如。その原因を松山は「良いものが、なかなか続かないこと」と説明した。

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