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マスターズ優勝、8年連続トップ30入り…“快挙”を積み重ねる松山英樹の焦燥感「いつそうなるかわからないという不安がある」 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2021/09/28 11:06

マスターズ優勝、8年連続トップ30入り…“快挙”を積み重ねる松山英樹の焦燥感「いつそうなるかわからないという不安がある」<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

8年連続で“30人だけ”が許される最終戦に進出して昨季を締めくくった松山英樹。新シーズンの開幕戦では6位タイと好スタートを切った

「数字的にもティショットもそこまで暴れていなかった。ただ、“一発の大きいミス”が出て、そこからアイアンショットでチャンスにつけることが少なくなっている」

 目澤秀憲コーチとの取り組みもあって、指針に基づいたスイングづくりを恐るべきスピードで進めてきたが、過渡期は依然として続いている印象だ。

「パットも普段よりずっと良いパフォーマンスが出るときがあっても、それがなかなか続かない。良いショットやラウンドがあって、良くなっているはずなのが、うまく結果につながっていない。自分で信じきれていない部分がまだある」

 好不調の波はゴルフにおいて避けようがないが、こと昨季についてはその波が小刻みだった。1試合ごと、1ラウンドごとにとどまらず、とくにプレーオフシリーズでは1ホールごとにアップダウンを繰り返したようでもある。

 9年目のシーズンはその波を穏やかにすることが当面のターゲットになる。そうすることでキャリアの浮沈を抑えたい。

松山にいつも漂う「焦燥感」

 ツアー選手権を終え、松山は1週のオフを挟んで開幕戦にさっそく出場した。翌週に米国と欧州の2年に1度の対抗戦「ライダーカップ」が控えていたこともあり、最終戦と開幕戦に出たのは松山のほかはジョン・ラームとケビン・ナだけである。

 日本人選手として未踏の道をかき分けてはいるが、彼にはいつも焦燥感が漂う。それは周囲の選手の動向に敏感だからこそでもある。昨季は名手アダム・スコットらがぎりぎりでプレーオフ初戦に滑り込み、一時は世界ランキングで9位にまで達したトミー・フリートウッド、松山とほぼ同時期に活躍し通算5勝を挙げているリッキー・ファウラーは出場すらかなわなかった。

「ああいうのを見ていると、自分がいつそうなるかわからないという不安が僕にはある。30人に残りたいという最低限の目標がある」

 シーズン初戦は初日から中位でゲームを進めながら、最終日の上がり3ホールでプレーが突如かみ合い、バーディ、バーディ、イーグルで締めて6位タイでフィニッシュ(ラームとナは予選落ち)。昨季なかなか手が届かなかったトップ10にさっそく入れた。

 それでもここで、安堵感いっぱいというわけにもいかないのである。

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