RISEでは、使用するグローブの規定が変わったばかり。50kg以下の試合ではグローブが6オンスから4オンスの小さいものになった（この試合は49.5kg契約）。「一発もらったら終わる。他の試合もダメージが大きそうでした。もらわないことを重視して試合をしていたところもあります」と寺山。警戒していた要素を、逆に武器にできたわけだ。

　判定は2-0。本人は「ドローだと思った」という接戦だったが、僅差をものにできたのは寺山の成長、試合運びのしたたかさがあったからだ。本人以上に、ジャッジが彼女の強さ、巧さを感じ取ったのである。

評判急上昇のぱんちゃん璃奈は9.19RIZIN初参戦

　1階級上のチャンピオンにも勝って、女子キックの“顔”としてさらに価値を高めた寺山。それは“狙われる立場”であることも意味する。5月のタイトルマッチで下したAKARIはこの日、復活の勝利を挙げリマッチの早期実現をアピール。他団体の選手からも“ラブコール”を受けている。KNOCK OUTの女子王者であるぱんちゃん璃奈だ。

　デビュー直後からルックスも含めて注目され、雑誌のグラビアにも登場した彼女のキャッチフレーズは“キューティー・ストライカー”。ただ、だからこそ実力で認められたいという気持ちが強かった。練習熱心さは周囲の誰もが認めるところ。実際、現在までデビュー11連勝を収めている。10戦目はワンパンチKOで特大のインパクトを残すと、11戦目は寺山とも好勝負を展開したsasoriに勝利。人気だけでなくファイターとしての評価も一気に上がった。

KNOCK OUTの女子王者であるぱんちゃん璃奈　©Norihiro Hashimoto

　そして9月19日、ぱんちゃんは初めてRIZINに参戦することになった。その存在が日本最大の格闘技イベントにも認められたということだ。対戦するのは百花。大会の第1試合として行なわれるのも期待の表れだろう。第1試合は単なる前座ではなく、興行に勢いをつけるという重要な役目がある。

“RIZINを変えた”那須川天心に続けるか？

　ましてRIZINで女子キックの試合が組まれるのは初めてのこと。次も試合が組まれるかどうかは内容しだいだ。

　当初はMMAイベントとしてスタートしたRIZINだが、現在は並行してキックボクシング（男子）の試合も組まれている。流れを変えたのは、もちろん那須川天心だ。最初はMMAにチャレンジしたが、その存在がRIZINにとって欠かせなくなると、那須川の本領であるキックの試合をRIZINで行なうことが当たり前になった。ぱんちゃんも、女子キックもそうなることができるか。「自信はあります」と彼女は会見で語った。

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