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ぱんちゃん璃奈が9.19RIZIN初参戦! 寺山日葵は“26年ぶり”大一番で勝利… ニューヒロインだらけの女子キック、“那須川天心に続く”逸材は?
posted2021/09/18 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
女子キックボクシングのムーブメントが、いよいよ本格化してきた。
9月12日、RISEが女子イベント『RISE GIRLS POWER 5』を後楽園ホールで開催。初の“聖地”後楽園大会だ。女子キックの後楽園大会自体、26年ぶりだという。
かつてのRISE女子の顔、RENAのライバルでもあった神村エリカがアンバサダーに就任して新宿FACEでの大会を重ねてきた。昨年は男子も含めたビッグマッチの中で他団体の王者たちを招いたトーナメントを行なってもいる。
そこで優勝したのが、RISE女子ミニフライ級(49kg)チャンピオンの寺山日葵だ。那須川天心と同じTEAM TEPPEN所属の20歳。最後に負けたのは2019年2月で、それ以降10連勝を飾ってきた。少し前まではメンタル面も含め線の細さを感じさせるところがあったが、大勝負をクリアするごとに逞しくなった。その一方で、ジャニーズのライブに行くのが「格闘技と同じくらい大事」でもある。那須川がテレビでジャニーズのタレントと共演したという話を聞くたびに、実は内心穏やかではなかったりもするらしい。
「雲の上の存在」との勝負で見せた真価
寺山は9.12後楽園で1階級上、フライ級のベルトを持つ小林愛三と対戦した。自分が新人の頃からトップ戦線で活躍していた小林を、寺山は「雲の上の存在だった」と言う。小林の蹴りをお手本にしてきたとも。
コロナ禍で外国人選手を招聘できないこともあって実現した王者対決、先手を打ったのは小林だった。持ち味はパワフルなラッシュ。その布石として強烈な圧力をかける。小林の場合は前進することが自分のペースであり間合いを作ること。寺山は下がりながらの攻撃も得意なのだが、うまく蹴りを当てることができなかった。小林が距離をコントロールしていたのだ。
「愛三選手は気迫や圧が本当に凄くて。蹴りも当たらなくて、今までの自分だったらパニックになっていたと思います」
試合後、寺山はそう振り返っている。つまり今回はパニックにならなかったということだ。「切り替えができたのがよかった」。
前蹴りを軸に、ロングレンジの攻撃で主導権を握るのがいつもの寺山だ。だが小林は蹴りの距離をうまく外してきた。そこで寺山は思い切ってパンチ勝負に出る。カウンターだけでなく正面から打ち返す場面もあった。まともに打ち合えば不利になるとも思われたが、その局面で寺山が退かなかったことで小林のペースが狂ったという面もあるだろう。