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「負けたら生きていけるのか…」“禁断の愛”との批判を超えて…レスリング向田真優24歳とコーチ志土地翔大34歳が明かした覚悟《金メダル後に結婚》
posted2021/09/08 17:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Getty Images
8月18日、向田真優は婚姻届を提出した。お相手は学生時代から交際し、社会人になってからもコーチとして支え続けてくれた志土地翔大氏。東京オリンピック金メダリストが結婚というハッピーなニュースは暗いニュースが多い世の中をほっこりさせた。
8月下旬、都内で夫妻に会うと、夫の方からこの日に籍を入れた経緯を語り始めた。
「日取りは優勝した直後に決めました。たぶんその日(8月6日)に決めたんじゃないかな」
向田は即座に頷いた。
「そう。大安がいいということで」
結婚は「私にとっては逆に遅いくらいでした」
志土地はその前に三重県四日市市にある向田の実家を訪ね、入籍する意向を伝えた。
「結婚するという話は前々からしていたけど、具体的にいつ籍を入れるという話はしていなかったので」
姓が変わったことについて聞くと、向田は「まだ実感がわかなくて」とのろけた。
「いろいろなところで『志土地』と書くたびに、ア~ッとなりますけどね」
現在、向田は24歳だが、JOCエリートアカデミーに籍を置きながら安部学院高に通っていた頃までは「20歳までに結婚したい」という早婚願望を抱いていたと打ち明ける。
「でも、(大学進学で)至学館に行った時点で、『あっ、若いうちの結婚は無理だな』と諦めました(笑)」
至学館大は男女共学ながら、以前は女子大で当時から女子レスリングの名門として知られていた。現在もレスリング部は女子のみで、類まれな競争社会を構築している。第三者から見れば、とても恋愛にうつつを抜かしている暇はない環境だ。
しかし、昨年向田は至学館大を卒業し、現在は社会人レスラーの身。しかも、東京オリンピック女子53kg級で金メダルを獲得したことで結婚することに支障はなくなった。
「だから早いとは思わない。私にとっては逆に遅いくらいでした」
“吉田沙保里二世”と言われたが……
向田は三重県四日市市出身。同県出身のレスラーには吉田沙保里がいる。高1でシニアの二大選手権である全日本選抜選手権で3位に入賞し、その後もシニアの大きな大会で上位に定着するようになった向田は、リオデジャネイロ・オリンピックの直前に行なわれた同選手権で初優勝を遂げると、“吉田沙保里二世”と呼ばれるようになった。
このとき、向田はまだ大学1年生。周囲の期待に応えるように、リオ五輪の4カ月後に開催された世界選手権に55kg級で初出場を果たすと、初優勝を遂げる。