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〈凱旋門賞“2年連続”2着〉現地前哨戦での好走がオルフェーヴルの偉業を生んだ…知られざる「鼻先蹴り上げ事件」が示す“日本馬勝利の条件”
posted2021/09/12 06:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
AFLO
今週末、フランスでは凱旋門賞(GI)の前哨戦デーが開催される。
ヨーロッパ最大のレースと同じパリロンシャン競馬場の芝2400メートルで行われるプレップレースは全部で3つ。牝馬のGIであるヴェルメイユ賞、古馬のフォワ賞(GII)、3歳のニエル賞(GII)だ。
凱旋門賞には数々の日本馬が挑戦したが、残念ながら現在のところ先頭でゴールラインを通過した馬はいない。しかし、勝ち馬に続く2着でフィニッシュしたのは延べ4頭。1999年のエルコンドルパサー(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)、2010年のナカヤマフェスタ(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)、そして2012、2013年と2年連続で2着に健闘したのがオルフェーヴル(栗東・池江泰寿厩舎)。彼等4頭に共通しているのはいずれも前哨戦デーに走っていたという点だ。
逆に休み明けで挑戦して敗れた馬としてはディープインパクトやジャスタウェイ、メイショウサムソン、マンハッタンカフェ他がいる。ディープインパクトは3位入線(後に失格)と善戦したものの、この馬の本来のパフォーマンスを考えれば、それでも決して好走とは言えないだろう。
日本馬が凱旋門賞を勝つには、“前哨戦デー”が鍵になる
そもそも凱旋門賞は休み明けで制すのが難しいレースでもある。近年、このレースを休み明けで優勝した例はほとんどなく、最も間を開けて勝利した馬としてはシーバードまで遡るわけだが、これがなんと1965年の話。今でもヨーロッパ史上最強馬という意見が多く出るこの馬が2カ月と29日ぶりの実戦で凱旋門賞を制したが、それでもギリギリ3カ月は開いていないのだから、やはり休み明けは不利とみてよいだろう。つまり、日本馬が前哨戦デーを叩くのは過去の好走馬をチェックするまでもなく好手だと思われるのだ。
ちなみにヨーロッパには各国に数多くのレースがあるので、凱旋門賞へ向かうステップは前哨戦デー以外にも様々な選択肢がある。アイルランドのチャンピオンS(GI)、イギリス、ヨーク競馬場のイボア開催で行われるインターナショナルS(GI)やヨークシャーオークス(GI)、ドイツのバーデン大賞(GI)などなど。しかし、ヨーロッパをホームにする馬と違い、日本馬はそもそもフランスまで遠征をしている。そのため、多くのケースは凱旋門賞の舞台にほど近いシャンティイの厩舎に入る。だからわざわざそこから再度遠征するよりもパリロンシャン競馬場の前哨戦デーを使うのがベターなのだろう。
また、前哨戦デーを使うもう1つの理由をオルフェーヴルの池江泰寿調教師は次のように語る。