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前田健太、中崎翔太、そして玉村昇悟…育成のカープで「高卒2年目投手」が毎年デビューしている理由とは

posted2021/08/30 11:02

 
前田健太、中崎翔太、そして玉村昇悟…育成のカープで「高卒2年目投手」が毎年デビューしている理由とは<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

玉村に甲子園経験はないものの、福井県立丹生高校時代には「越前のドクターK」と呼ばれる活躍で、同校を県大会準優勝に導いた

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 大瀬良大地、森下暢仁の2枚看板が引っ張る広島先発陣の中で、高卒2年目の玉村昇悟が奮闘を見せている。

 球団では1950年長谷川良平氏以来となるデビュー登板から先発3戦3敗というスタートとなったが、6月以降は7試合で2勝1敗、防御率2.33と復調。6試合でクオリティースタートを達成した(8月26日時点)。黒星が先行しているとはいえ、プロ初登板から責任投球回を投げきれなかったことがない。

 玉村はプロ1年目の昨年、二軍の公式戦登板はわずか1試合しかない。2年目での躍進は、先発投手の負傷や不調が相次いだことがきっかけではあるが、運だけではない。そこには、明確な球団の育成方針がある。

 広島の高卒1年目の投手は基本、春季キャンプが終われば二軍本隊から1度離れる。投球練習などの技術練習も続けるが、練習時間の多くを走り込みや筋力強化に費やす。いわば、プロ野球選手としての土台づくり。近年は高校野球界でもウェイトトレーニングなどが広まっているとはいえ、四六時中野球漬けとなる生活に慣れるのは容易なことではない。

素材を活かす方法を探る1年目

 肉体的に追い込みながらも、技術面の大幅変更はしない。菊地原毅二軍投手コーチ(2018年までリハビリ組、強化選手のいる三軍担当)は「コーチ陣と話し合いながら指導しています。ただ前提として、良くてプロに入ってきている選手たちなので、大幅に変えるようなことはしない」という。負傷を招きかねないフォームは指摘しても、1年目からフォーム変更を求めたりはしない。まずは入団時の素材を生かす方法を探る。

 実戦デビュー時期は選手個々の体力や能力、担当コーチの判断によって異なる。ただ、夏場以降にはデビューさせ、シーズン終了後のフェニックス・リーグで定期的に投げ続けて、2年目につなげるというビジョンを球団内で共有している。

 その育成方針は実績に表れている。塹江敦哉、高橋樹也、アドゥワ誠、遠藤淳志、山口翔、田中法彦、そして玉村と、16年から毎年、高卒投手の2年目デビューが続いている。

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