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「楽しむことがメイン」平野歩夢(22)が挑む“専門外”のスケートボード…冬季五輪メダリストが“4番手”でも笑顔で滑り続ける理由 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byAsami Enomoto

posted2021/08/05 06:00

「楽しむことがメイン」平野歩夢(22)が挑む“専門外”のスケートボード…冬季五輪メダリストが“4番手”でも笑顔で滑り続ける理由<Number Web> photograph by Asami Enomoto

「高さやスピード、自分にしかできない魅力的な滑りを伝えられれば」と思いながら滑ったと語った平野

「楽しむ」余地が、スケートボードには残っている

 だが「遊び」として始めたスノーボードも、フロントランナーとなった今では別物に変わってしまった。

 平昌五輪前年の2017年3月には着地の失敗で左膝と内臓を損傷、生死に関わりかねない大怪我を経験した。極限を越えた先に、さらに命をむき出しでさらすような技に挑まざるを得なくなっている。

 スケートボードにも大けがの危険性は同じようにある。だがスケーターとしての平野の滑りはまだ極限には達しておらず、挑まれる王者の立場でもない。スノーボードでは失われた「楽しむ」余地が、ここにはまだ残っているのだった。

“デビュー戦”となった16日のスケートボード日本オープン・パーク選手権、大会当日になるとパークの外まで人がごった返し、メディアも大挙して押しかけた。IOCの公式インターネットテレビ局も平野だけを目当てに取材にやってきた。

「リスクとかプレッシャーは今まで以上にすごく大きくて、何かに挑戦するってことはそれだけの注目も受け止めないといけない。そういう点でも人が経験できないところを、いま、前を向いて走っていると思う。その経験によって今まで以上に強くなることができればと思って挑戦した」

「共通するものは必ずある」

 自らを取り囲む喧騒の中で、他の選手とは明らかに違うオーラを醸し出しながら、平野はスピードと高さを武器にしたランで沸かせた。メソッドエアーやバックサイド540の高さは他の誰もまねできない圧倒的なもの。その特長は雪上での滑りとも共通するものだった。

「2つの競技をやってみて、共通するものは必ずあると思う。それを探しながら、このチャレンジに挑んでいるところもある。僕自身の滑りでも、高さだとか、スノーボードやってるからこういう滑りができるんだよなっていうのを、少しでも感じてもらいたい。自分にしかできない魅力的な滑りがちょっとでも伝わればと思って今日は滑った」

【次ページ】 「まさか」の表彰台ゲットで東京五輪へ

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