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「あっという間に終わってしまった」なでしこ田中美南、悔しさと危機感と2ゴール…みんなで確かめた“課題”とは?
posted2021/08/03 11:01
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
「東京五輪はあっという間に終わってしまった。本当に悔しい。メダルを日本の皆さんに届けられなくて申し訳なかったです」
サッカー女子日本代表のFW田中美南は大会を終えて率直に感じたことを言葉にした。悔しい、悔しい、と何度も口にした。
なでしこジャパンのエースストライカーとして挑んだ東京五輪。田中は2戦連続ゴールを奪うなどチームの中では存在感を放った。なでしこリーグで4年連続得点王を獲得。そして、東京五輪のメンバーに選ばれるため2020年に慣れ親しんだ日テレ・ベレーザからINAC神戸レオネッサへ移籍。今年2月には海外に渡り、ドイツ・ブンデスリーガでもプレー。実績と経験を積んでいく一日一日が東京五輪に繋がると信じていた。着実に階段を上る中で迎えた2021年だった。
「この五輪はどんな形でも点を獲ってやろう、と。そして何としてもチームを勝たせることだけを考えていました。チリ戦でのゴールはこれまでの経験が出たシーンでした。スウェーデン戦でのゴールは(長谷川)唯とのコンビネーションの中で、信頼関係で掴み取れたゴール。ポジショニングも相手の嫌がる位置取りが出来たと思う」
足りないと感じたもの
この日のために、この試合のために、圧倒的な準備をしてきた27歳。FWとしては仕事をした――そう見ることもできる。しかし、田中はこう続ける。
「ボールを動かし、パスを繋ぐサッカーは展開できました。個々のポジショニングも良かった。相手やゲームの状況を見極めながらボールを動かすという、なでしこの強みを改めて感じることも出来ました。けれど、相手の勢いに負けない守備力とそれに勝る攻撃力が足りませんでした」