普段はあまり目立たない脇役的存在が、あれよあれよという間にチームのキーマンとなって重要な役割を果たす。

　もちろん捕手・甲斐拓也は侍ジャパンのど真ん中の中心選手である。しかし打者・甲斐拓也は「9番」という打順が示すように、打線の中では少なくとも核として期待されている選手ではなかったはずだ。

ことごとく大事な場面でこの「9番打者」のところに

　しかし大会に突入すると、ことごとく大事な場面でこの「9番打者」のところに打順が回ってくる。

　初戦のドミニカ共和国戦では1点を追う9回1死一、三塁だった。そこで相手一塁手の守備位置を見定めてライン際にセーフティースクイズを冷静に決めて同点に追いつき、坂本のサヨナラ打へとつなげた。

　そしてこの試合でも初回の嫌なムードを一気に吹き飛ばす同点打。しかもこの「9番打者」のバットはそれだけでは止まらなかった。

　4回には1死一塁から左前に技ありの安打で繋いで山田の3ランのお膳立て。8回には2死から投手強襲安打で出塁すると、相手の無警戒を突いて、すかさず山田の初球に二盗を決めて7点目のタイムリーを引き出した。

技ありの打撃を見せた甲斐　(C)Getty Images

「（打席では）色々考えています。まあ、色んな方法があると思いますし、まあ打席内で色々なことを考えていますよ」

　甲斐は言う。

国際試合では対戦する投手がほぼ全員、初見となる

　国際試合では対戦する投手がほぼほぼ全員、初見となる。もちろんビデオを観て、スコアラーのデータで球種や得意球なども頭に叩き込んでいる。ただ、実際に打席に立たなければ、球筋もボールの勢い、変化球の曲がり方も本当のところは分からない。

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