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史上初の銅も「99は悔しい」…失意の伊藤美誠を復活させた“コーチの冗談”「そんなこと思えねーよ!(爆笑)」
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byJMPA
posted2021/07/31 11:06
日本の卓球女子シングルスで史上初となるメダリストとなった伊藤美誠。だが、この快挙に笑顔はなかった
3位決定戦までの間にもそれを物語る会話があった。準決勝の敗戦を引きずりそうな伊藤に松崎コーチが「もう負けたことは忘れて、ほら次、決勝だよ」と冗談混じりに言うと、「そんなこと思えねーよ!」と伊藤が笑いながら突っ込んだそうだ。
伊藤も「お母さんもすごく明るく迎えてくれて、何とか切り替えようと思えました」と話す。
この五輪期間中、美乃りさんはコロナ対策のため会場入りはできないが、伊藤の宿舎で食事や洗濯など身の回りの世話をしている。「毎日2~3時間程度の睡眠で頑張ってくれている」と伊藤が感謝を口にする。
さらに柔軟で多彩なプレースタイル同様、伊藤の発想の転換力も気持ちの立て直しに役立った。
「多分、リオのときも言ったんですけど、(トーナメントは)決勝と3位決定戦でしか勝って終われないんですよ。だからたとえ3位決定戦に回っても絶対に勝って終わりたい。そこはすごく強い思いでやっていたのでプラスに変えられたかなと思います」
「私、金メダル以外は基本一緒だと思ってます」
8月1日からは団体戦が始まる。
日本女子代表チームのエースとして、石川佳純、平野美宇とともにチーム戦に臨む伊藤は、まだ涙ぐむ目に光を宿して言った。
「団体戦では中国人選手に勝って金メダルを取りたいです。私、金メダル以外は基本一緒だと思ってます」
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