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大きすぎる古賀紗理那の不在…狩野舞子が感じるバレー女子代表の“もどかしさ”、次は日韓戦「何が何でも勝つ」という気迫を
posted2021/07/30 11:07
text by
狩野舞子Maiko Kano
photograph by
REUTERS/AFLO
何とも、もどかしい。
予選リーグ3戦を終えて1勝2敗。序盤からセルビア、ブラジルという強豪と対戦することはわかっていたことでしたから、このような厳しい結果になることは予想できなかったわけではありません。
ただ、3戦目のブラジル戦を終えた今、頭の中を、やるせなさやもどかしさがグルグルと巡っています。
あまりに大きい古賀紗理那の負傷
ブラジル戦の前に、まずは初戦のケニア戦から振り返りましょう。
東京五輪の舞台に立ったケニア代表は、2019年のワールドカップとは比較にならないほど成長を遂げていました。個々のプレーも組織的な動きも、私たちの想像以上に素晴らしいプレーを見せてくれました。
とはいえ、メダル獲得を狙う日本にとっては、絶対に勝たなければならない相手。試合序盤こそ、初戦特有の“硬さ”がありましたが、それでもサーブを効果的に使い、常に主導権を握る展開に持ち込むことができました。5月末から6月にかけて行われたネーションズリーグも含めて、ここまで積み上げてきたことをしっかりと発揮している、良い勝ち方で初戦を終えられる――そう思った方は多かったと思います。
しかし、その矢先にアクシデントが襲います。チームの大黒柱である古賀紗理那選手が第3セットの途中で負傷退場することになりました。
古賀選手はネーションズリーグでもチーム最多得点者であり、大エースと呼ぶべき存在。さらには、前回のリオデジャネイロ五輪のメンバーから漏れ、この東京五輪に誰よりも懸けてきた選手の1人です。Vリーグでも、誰が見てもわかるぐらい顔つきが変わり、「自分が引っ張る」という覚悟を感じられるプレーが続いていました。それだけに古賀選手の心情を思うと、とても苦しい。ですが、何よりチームに与える影響が大きかった。
男子日本代表がネーションズリーグで試合ごとにさまざまな布陣や選手起用を試してきたのに対し、女子日本代表はほぼメンバーを固定して強化してきました。コンビの精度や守備の連係を高める狙いがあったことはわかります。でも、オリンピックという特別な場所では思惑通りに運ばないことも大いにある。むしろ計算通りにいくほうが珍しいのかもしれません。
ケニア戦こそしっかりとストレート勝ちを収めたものの(3-0)、続くセルビア、ブラジルにストレート負け。大エースの不在により、徹底して積み上げてきたものが崩れてしまった。そう言っても大げさではないほど、これまでの全く違うバレーになってしまいました。