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「スポンサーになってくれてありがとう!」 セレッソとサポとクラフトビール醸造所の幸せな関係「でも実は僕…」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2021/07/10 11:02
ディレイラブリューワークス代表の山崎昌宣さん。セレッソ大阪との関係性を明かしてくれた
地域を飛び出して広く価値を持たせるための「地域密着」
――大手のビールとスタジアムで共存しているということには大きな意味がありますね。
山崎さん:そうなんです。マスに打って出るというのは凄く大事なことで、我々は強豪揃いのグループリーグに放り込まれているようなものです。負けて当たり前ですよ。でも、そうなると1回引き分けただけで大ニュースになるじゃないですか。周りの目が変わるというか。
今の日本って、手放しで自分の地元を「すげえ」って言える機会って、なかなかなくなっているじゃないですか。そこで大阪だったら、ACLや選手の海外移籍だったり、世界に出ていく姿というのを見せるところに自分たちを重ねていけるじゃないですか。「おらが村のチーム」を応援したくなるのはそういうところだと思うんです。
地域密着というのは、その言葉の印象から誤解しがちだが、決してその地域の中で全てが完結することを目的としているわけではない。
山崎さん:僕たちも地元を大事に、地元密着でやっていますけど、それが日本全国、世界で評価を受けないと意味がないと思っているんです。決して地元だけで経済を回すためじゃない。それが地元への誇りを取り戻すことになると思うんです。
地域密着という理念は、最終的には地域を飛び出して広く価値を持つようになる。
それは大切な視点だ。たとえばアウェイサポーターが遠征先のスタジアムでクラフトビール(この場合は地ビールと言った方が相応しいかもしれないが)を飲む。ホームのサポーターとしては自分たちが飲むだけでなく、その光景を見ても誇らしく思うだろう。
そういった些細な出来事が、地域への思い入れやチームへの愛情を深めることに繋がる。セレッソとディレイラとの関係は、それを実現できる理想的なものに思える。だからこそ、どこのスタジアムに行ってもクラフトビール・地ビールがあるようになれば、リーグ全体で新たな価値を持つことになるのではないか。
山崎さん:お互いを高められたり、人のためになにかする、人に対して作業できるというのが凄く楽しいことだとか、スポンサーになることで、そうした体験や感覚を得ることができたんです。もちろん告知効果や名前が売れるなどもありますよ。だけど、スポンサー料をどう回収するかなどは考えていなくて。費用対効果の良さを考えれば、SEO対策や広告を打つことにお金を使った方が楽ですからね。
「実は僕、ガンバ大阪が…」
話が熱を帯びるなかで、山崎さんはこう言葉を続けた。
山崎さん:あと、これは森島(寛晃)社長にも言ってあるので書いてもらって大丈夫なんですけど……実は僕……。