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ホークス「米ドラ1を蹴った男」スチュワートはどうしてる? 二軍防御率「0.97」で本人は「コンビニの食べ物もトライしてます」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/06/30 17:03
4月に一軍に昇格。試合前練習に合流したソフトバンクのスチュワート。工藤監督から指導を受ける
それでも、1回表はライトを守る佐藤直樹の好返球もあり無失点で切り抜けた。続く2回表も走者を出したが、今度は捕手の海野隆司が強肩で二盗を阻止して事なきを得た。
調子が良さそうには見えない。
だけど、ホームは踏ませない。3、4回は三者凡退。5回には1アウトから再び得点圏に走者を背負ったが、慌てずに後続を仕留めた。
こんな「大人の投球」がいつの間に出来るようになったのか。
自分のスコアブックに5つ目の「0」を書き込んだところで、ふとスチュワートの二軍成績を調べると、この時点での防御率はなんと「0.97」という驚異的な数値を叩き出していた。
2年前は身体もブヨっとしていた
6回表も無失点に抑えて、7回表もマウンドへ。1アウト後、この日の102球目の高めに浮いた直球を中谷将大にとらえられて左越えソロ本塁打を運ばれたが、この後のピッチングに目を奪われたというか、少々驚かされた。続く高山俊は153キロの直球で空振り三振に仕留めた。追い込む過程ではカーブやチェンジアップをしっかり制球してストライクを取っていた。そして長坂拳弥には151キロ、152キロ、151キロ、152キロとオール直球勝負でライトフライに打ち取った。7回を投げたのは今季最長タイで、111球は今季最多だった。
超逸材と騒がれてホークスに入団した2年前の今頃は、正直「メジャーのドラ1ってこんな感じなのか」と思わず首を捻ったほど、どこか弱弱しい印象しかなかった。
身体もブヨっとしていて覇気も感じられなかった。
振り返れば、来日1年目は三軍戦の登板ですらアップアップしていた。亜細亜大学との練習試合では足で引っかき回され4回6失点でKOされた。この年の9月には巨人三軍戦で11失点と大炎上もした。
その後、体型はみるみる変わった。しかし、それは締まったというよりもやせ細っていくように映った。聞けばかなりの偏食家らしく、野菜嫌いで魚類も苦手で、来日当初はハンバーガーやステーキなどしか口にしなかったという。
スチュワート「ニグンで圧倒しないといけない」
2年目の昨季はウエスタン・リーグで15試合に登板して3勝7敗、防御率4.16と平凡な成績だった。
それが3年目の現時点(6月29日現在)は8試合5勝0敗、防御率1.15と大きな飛躍を見せている。
倉野信次ファーム投手統括コーチも現在の出来には太鼓判を押す。