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突然の現役引退から4カ月 大坂まりに聞く「あなたにとって大坂なおみとはどんな存在ですか?」〈特別インタビュー〉
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph byGetty Images
posted2021/07/02 11:03
今年3月に現役を引退した大坂まりさん。テニスプレーヤーの大坂なおみさんは妹であり親友だ
まりが定義する、“テニスプレーヤー・大坂なおみ”
一方のなおみは、まりさんのことを姉としてだけでなく、「ライバルであり、親友」と定義していた。
二人で毎日のように練習した日々から時が経ち、お互いに長い道を歩んできた今、まりさんは妹をどのように定義するのだろうか?
「なおみは、何事においても成功を手にするために情熱を燃やし全力を尽くす人です。もちろん、わたしにとっては、妹であり親友でもあります。でも個人的に彼女にラベル付けをするなら、テニスプレーヤーというより、『hustler(ハスラー)』という言葉が最もぴったりなのかなと思います」
『ハスラー』の言葉には、大坂なおみというアスリートの多面的で陰影に富んだ人間性への、深い洞察と敬意が込められているだろう。
ハスラーは、“ばくち打ち”と訳されることが多いが、それ以外にも、仕事に精力的に打ち込む敏腕な人物、さらには“抜け目ない攻撃を得手とするアスリート”という意味もある。まりさんが妹を指すのに用いたのは、まさにこれらの意だろう。
姉妹で共作した『アンライバルド NAOMI天下一』
そのような妹と共に、現在まりさんが打ち込む仕事の一つに、漫画制作がある。
昨年末に『なかよし』で連載が始まった『アンライバルド NAOMI 天下一』は、大坂なおみをモデルにした漫画作品。宇宙を舞台に、スペーステニスプレーヤーのなおみが、人々の夢を守るために戦うという冒険活劇だ。
まりさんはこの作品の“監修”として、キャラクター造形やストーリー作成に携わる。それは、子どもの頃から日本の漫画やアニメを愛し、「いつか自分で作品を生み出したい」と願っていたまりさんにとって、夢への一歩を踏み出した瞬間でもあった。
「2年ほど前に、講談社からなおみの下に、一緒に漫画を作らないかという提案がありました。それが『アンライバルド NAOMI天下一』の始まりです。わたしは編集者の方と話しながら、ストーリーを作る手助けをしています。編集者、わたし、そしてなおみの間で、何度もアイディアを出しては相談して修正するというやりとりを繰り返し、今に至っています」
「なおみが歩んできた道のり」を伝えたい
まりさんが影響を受けてきた漫画やアニメには、子どもの頃に繰り返し見た『テニスの王子様』や『美少女戦士セーラームーン』があるという。その後にハマった作品として、『進撃の巨人』、そして『不滅のあなたへ』を挙げた。特に『不滅のあなたへ』は、「漫画も読んだけれど、それでもアニメの第1話を見ると今でも泣ける」ほどに、心を揺さぶられたという。
それら日本の作品から多くを学んだまりさんは、作品を提供する側として、読者に何を伝えたいと願っているのだろうか?