村田諒太「王者の本棚」BACK NUMBER
『イエスの現場 苦しみの共有』万人に共通する悩みに応える聖書を、“現場”の視点で読む。
text by
村田諒太Ryota Murata
photograph bySports Graphic Number
posted2021/06/30 07:00
『イエスの現場 苦しみの共有』滝澤武人著 世界思想社 2090円
タイトルに惹かれて、その本を手にしてしまうことはよくあります。滝澤武人さんが書いた『イエスの現場』がまさにそうでした。
誰もが知るイエス・キリストですが、教えを自ら書き残しているわけではありません。新約聖書にある多くの言葉は弟子たちによって伝えられたものがのちに福音書としてまとめられたものであり、イエスは貧しい人や弱い立場の人など「その時代の最下層者・最底辺者たちとともに生きていた」。現場で懸命に活動する温度感みたいなものが伝わってくるようでもありました。
本書はイエスがその現場で活動していたことにスポットライトを当て、福音書と照らし合わせながら読み解いていこうという内容。テーマとして分かりやすく、かつ、捉え方も斬新だったので最後まで興味深く読むことができました。