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「あの子見た目はいいけれど、試合がダメだよね」 戦闘服の女子レスラー・ジュリアの生き方と“白いベルト”への愛
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/06/28 11:01
女子レスラー・ジュリアが批判を恐れず自分をさらけ出せる背景にあった彼女の人生とは
「白いベルトには愛しかないんですよ」
赤いベルト以上に白いベルトへの思いは尽きない。
「白いベルトには愛しかないんですよ。あのベルトとともに昨年、活躍できた。本当に私の宝で、いとおしかった。そこに中野たむという存在は欠かせないけどね。今、宝を持っているのは私じゃなくてアイツだから。ヘボいことしてんじゃねえかな、と気にして見ている。白いベルトへのこだわりは誰よりもあると思ってます」
その白いベルトを持つ中野に、上谷沙弥が横浜で挑戦する。
「2人の関係性は深いことは知らないけれど、やり取りを見ていると、大丈夫か、オマエら、いい子ちゃんしてるんじゃねえぞって思いますよ。赤は技術で最高峰。白は感情なんだろ? って。
今の感じじゃあ、感情なんか見えない。しっかりしろよ、中野たむ。チョロい奴のことはだませてもジュリアはだませないからね。ネコ被ってんじゃねえ、むき出しの丸出しで行ってほしい。綺麗事でお前の感情を隠すな」
発信しない99%の人達の存在を信じて
TwitterやSNSの時代は気に入らない選手への否定が絶えない。自分をさらけ出すと批判の声が上がる。でも、ジュリアはそれを恐れない。
「私は結構、否定され続けて生きてきた。何を言われようがどうでもいい。批判する人ってそんなに多くないんですよ。そういう人ばかりがわざわざ発信するから多く見えるだけ。SNSでは『あんな奴誰も応援しない』とまで言われたジュリアは昨年、東京スポーツの女子プロレス大賞取って。週刊プロレスのグランプリでもファン投票で1位でした」
ジュリアは割り切ったようにいう。
「世の中の99%は良いと思っても悪いと思ってもSNSで発信したりはしないと思う。いちいち人を悪く言うような人はほんの僅かなんだけど、そういう人って『皆が自分と同じように悪く思ってる』と発信するんですよね(笑)。まあこんな時代にわざわざ私達の事を褒める発信をしてくれる人もいて、そういう人たちの応援メッセージは素直に嬉しいし、すごい励みになるんですけど。
でもどちらにしても、現代の芸能人やレスラーってそこを気にし過ぎてる気がする。その僅か1%の人たちに気に入られるためにやってても面白くありませんから。本当のファンは目立つ発信をしない『99%』の中にも沢山存在してる。私はその人達の存在を信じて、これからも汚い所もさらけ出しながらやって行きたい」
「アリベデルチ、またな!」
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