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ウッズ不在も最高潮のドキドキ感…全米オープンでも「まさか」は続く? ミケルソンのメジャー連勝、松山英樹の優勝はあるか
posted2021/06/17 17:02
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
いよいよ今週は全米オープン。今年の舞台はカリフォルニア州ラホーヤのトーリーパインズだ。
トーリーパインズの全米オープンとくれば、思い出されるのは2008年大会。左足を故障していたタイガー・ウッズが、歩くこともままならないほどの状態のまま、ロッコ・メディエイトとの19ホールに及ぶプレーオフを制したあの戦いは、歴史にも人々の胸の中にも残る壮絶な死闘だった。
もしも、今年2月にウッズが交通事故を起こしていなかったら、もしも、ウッズが今、再びトーリーパインズで全米オープン制覇を目指してクラブを振っていたら、開幕前の話題はウッズ一色になっていたはずである。
しかし、あの交通事故で右足に重傷を負い、リハビリ途中のウッズの姿は今年のトーリーパインズにはない。それが現実である。
しかし、その一方で、現実の世界、とりわけゴルフの世界では、信じられないような「まさか」が案外、起こるものだ。だからこそ、たとえウッズがいないトーリーパインズの全米オープンであっても、そこには十分すぎるほどのドキドキ感が溢れている。
さすがにメジャー連勝はない?
最大の「まさか」を期待されているのは、5月に50歳11カ月で全米プロを制し、メジャー最年長優勝を達成したばかりのフィル・ミケルソンだ。
すでにメジャー6勝、米ツアー通算45勝を挙げたミケルソンだが、全米オープンだけは何度も勝ちかけながら、どうしても勝てず、これまで2位に終わったことが6度もある。
6月16日生まれのミケルソンは、ほぼ毎年、全米オープン・ウィークに誕生日を迎え、ときには誕生日が最終日と重なったこともあった。ギャラリー・スタンドの大観衆に「ハッピー・バースデー」を歌ってもらったこともあった。
しかし、嬉しいはずのその歌が、勝利を祝う歌にはならず、惜敗の悔しさを和らげる鎮魂歌になってしまったことは、なんとも皮肉。プロ入り以来、この四半世紀以上の間、彼にとってのバースデーは、常に嬉しさと悔しさが入り混じる「スイート&ビター」な味であり続けてきた。
今年は大会開幕直前の水曜日が51歳のバースデー。全米プロでは最年長優勝をやってのけたとはいえ、現実派の米メディアの大半は「さすがに史上最年長のメジャー2連勝はない」と見ている。
ラスベガスのブックメーカーの優勝予想を眺めても、ミケルソンはトップ20にすら入っておらず、ミケルソンの全米オープン優勝は「ない」、キャリア・グランドスラム達成は「ない」、彼の悲願は「叶わない」というのが、開幕前の大方の見方だ。
なぜ「ない」と見られているのか?