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「私けっこう性格悪いんで(笑)」K-1で菅原美優に勝利したMIOが“RENAの妹分”からの独り立ち 「本当に楽しいです、今」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/06/05 11:01

「私けっこう性格悪いんで(笑)」K-1で菅原美優に勝利したMIOが“RENAの妹分”からの独り立ち 「本当に楽しいです、今」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

試合前日の会見でのMIO(左)と菅原美優

「最初から3ラウンドみたいな闘いをしていれば…」

 45戦40勝。豊富なキャリアの中には延長をものにした試合も多い。シュートボクシング時代、自分を追い上げてきた選手と3回闘ってすべて勝ってもいる。どんな展開でも誰が相手でも、ギリギリのところで勝ちを掴む底力のようなものがあるのだろう。

「そんな感じはします。“絶対、何があっても負けない”っていうのは試合中ずっと思ってます。“ここで攻めなかったら負ける”という時には絶対に攻めるんです」

 劣勢の菅原は、最終3ラウンドに反撃を試みる。前進しながらパンチ。判定負けした後のインタビュースペース、彼女は「最初から3ラウンドみたいな闘いをしていれば……」と泣いた。

 大会翌日にインタビューした際、実はMIOも同じことを言っていた。

「前に出てきてくれたほうが(間合いが近くなり)私にとってはやりやすかったです。最初から3ラウンドみたいにきてくれてたら……」

 もっとやりやすかったし、いい試合ができていたはず、というわけだ。勝利は収めたものの、内容には納得できていない。

「距離を詰めるところまではよかったんですけど、そこからもっと連打しないと。3発、4発じゃなく7、8発は打ちたかったですね。KRESTではそういう練習をしてるので。KRESTらしい闘いがしたかったです」

武尊がいるから「頑張らないわけにはいかない」

 K-1オフィシャルジムであるKRESTでは、当然のようにK-1ルールに特化した練習をしている。試合同様の“ガチスパー”もKRESTの日常だ。「格闘技に対して誰よりもストイック」という武尊にも刺激を受けた。

「あんな凄い選手が身近にいたら、頑張らないわけにはいかないですよね。私も武尊選手みたいな魅せる試合ができるようになりたいです。K-1の初戦で負けた高梨選手にもリベンジしたいし、そう考えるとやることがいっぱいある。まだまだやめられないですね(笑)」

 シュートボクシング時代の末期は「やることはやったし、あとは終わっていくだけなのかな」と感じていたという。「何かシュンとしてました」。プロデビューは2011年、16歳の時だ。格闘技を始めたのは小学2年生。あらゆる面で“勤続疲労”を起こしていたのだろう。

【次ページ】 「やめなくてよかったなって、本当に思います」

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