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2試合で“8時間超”を勝ちきって…錦織圭が直後にぼやいた「テニスってめんどくさいですね」の真意
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2021/06/03 17:06
1回戦に続き、2回戦も5セットにもつれる試合となった。1回戦が4時間3分、第23シードのカレン・ハチャノフとの2回戦は3時間59分かかった
コートではコーチの助けもなく、すべて一人で問題解決を行なう。ストレスのかかった状態でも正しく状況を判断し、思い切ったプレーをしなければならない。そうやって、「体と気持ちを一緒に動かさないといけない」――錦織は選手が試合でやるべきことを並べたて、「めんどくさい」と嘆くのだ。だが、その難行苦行を自分はこなしているという自負もあり、それを「めんどくさい」という、一見投げやりな言葉に込めた、と深読みすることもできる。自己肯定感を、反転させた形で表出したのではないか。
“勝負強い”という本来の姿を取り戻した
1回戦でも、2回戦でも、錦織は試合後、「反省すべき点はたくさんある」と話した。2試合で8時間もかかったら、「コートに長くいるのが好きなんだ」という冗談も冗談でなくなってしまう。記者会見で口にしたように「決勝進出を目指しているので、大会のスタートとしては最高とは言えない」のは確かだ。
だが今は、勝負強いという本来の姿を取り戻したことに目を向けるべきだろう。自己肯定感を高く保ち、こうして本領を発揮していけば、目標は着実に近づいてくる。