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【日本ダービー】サトノレイナスとウオッカの“大きな違い”とは? エフフォーリア圧倒的有利も、対照的な脚質の「怖い存在」が
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/05/29 17:02
無敗でダービーに臨むエフフォーリアは皐月賞まで2着との差をどんどん広げている
ウオッカとサトノレイナスの共通点
2番人気になるのは、紅一点のサトノレイナス(牝、父ディープインパクト、美浦・国枝栄厩舎)だろう。
前走の桜花賞でも、前々走の阪神ジュベナイルフィリーズでも、直線で猛然と追い込み、ともに勝ったソダシとタイム差なしの2着に惜敗。
桜花賞2着からのダービー参戦というのは、ウオッカと同じだ。国枝調教師が、主戦のクリストフ・ルメールに、「ダービーに出したら乗ってくれるか」と聞いたところ、「乗りたい」と即答。同師が里見治オーナーに進言し、参戦が決まった。
国枝師はアパパネ、アーモンドアイと2頭の牝馬三冠馬を育てたが、ダービーは勝っていない。「サトノ」の冠で知られる里見オーナーもダービーは未勝利だ。
はたして、ウオッカ以来、14年ぶり、史上4頭目の牝馬のダービー馬は誕生するのか。
ウオッカの世代の牝馬は、2歳の早い時期から「この世代の牝馬は強い」と言われていた。ウオッカだけでなく、ダイワスカーレット、アストンマーチャン、ベッラレイアといった同い年の牝馬が牡馬相手のレースで結果を出していた。さらに、当時としてはかなり速い33秒台の上がりでまとめることが多いなど、時計の裏付けもあった。
今年の3歳牝馬も同様だ。桜花賞馬ソダシとオークス馬ユーバーレーベンが札幌2歳ステークスでワンツーフィニッシュを決め、牡馬勢をなぎ倒している。また、ソダシとサトノレイナスは桜花賞をコースレコードで走り切っているし、NHKマイルカップでソングラインが鼻差の2着になるなど、ハイレベルであることは間違いない。
サトレイナスは阪神JFで勝ち切れていない
ただ、すべてが2007年と同じというわけではない。ウオッカは、ダービーで単勝10.5倍の3番人気の支持だったことが示しているように、「フレッシュな挑戦をする女の子」といったニュアンスで受け止められていた。牝牡を通じて圧巻の強さを誇ることがわかったのは、ダービーのあと、いや、古馬になってからだ。今年のサトノレイナスより気楽な立場で臨むことができた。