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権田修一が本気で考える「日本でGKが人気ない」問題の改善法 欧州で指導者になったユース時代の同僚と話し込んでみた
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2021/05/27 11:01
清水や日本代表で活躍する権田修一。FC東京の下部組織時代の“同僚”とGKについて大いに語ってくれた
権田:もちろん、1、2年でできる話ではないことは分かっている。でも、そういう環境面の整備をすることが普及、発展には大事かなと。今は地道にGKというポジションに興味を持ってもらえる発信をして、そんなことを考えているんだと知ってもらえたら。
中野:みんなで連携できれば面白いことができそうだよね。
合同自主トレに子どもたちを招く?
権田:そうそう。たとえば、オフにJリーガーのGKで合同自主トレをして、そこに子どもたちを呼ぶ、とかね。僕らがガチで練習している姿を見てもらう。早くそういうイベントができるような世の中になってほしいと思う。
中野:そういう発想に至ったのは、やっぱり海外でプレーしたことが大きいの?
権田:いや、きっかけはそうだけど、構想は全部、頭の中。
中野:ね、ぶっ飛んでるでしょ?(笑)。
――なるほど(笑)。
権田:でもラトビアだって、各街に芝生のグラウンドをつくろう! なんてことを言う人はいないでしょ?
中野:いないよ、誰もいないよ(笑)。
オーストリアで見た“GK志望の子どもの多さ”
権田:考え方で影響を受けたという意味では、ポルトガルよりもオーストリアの1年間が大きかったかな(SVホルン/16年1月~)。GKを取り巻く環境が日本とは全く違った。
中野:たとえば?
権田:まず驚いたのは、サッカースクールにGK志望の子どもが多い。みんなGKをやりたがる。
中野:あっ、多い。うちのスクールも多いよ。
権田:そうでしょ? 特にオーストリアはドイツ語圏だからか、(マヌエル・)ノイアーのユニフォームを着た子が必ず5、6人はいた。でも日本ではほとんどいない。うちの息子が通うサッカースクールでも、GKグローブを持っている子は1人ぐらい。
――昔はジャンケンに負けた人がGKをやるみたいな風潮がありましたよね。
権田:本当にそう。僕は1994年W杯のアメリカ代表だった金髪のトニー・メオラを見てかっこいいと思ってGKを始めました。それにGKなら試合にずっと出られたし。
中野:確かにゴンちゃんはずっとGKだね。
日本では“必要だからやらされる感覚”だけど
権田:日本では、必要だからやらされるみたいな感覚。オーストリアでは「GKは1人しかできないから、その余った人たちでフィールドプレーヤーをやる」みたいな感覚。逆なんですよ。日本とは前提から全く違うわけです。
中野:そこを変えることはなかなか難しいけど、きっかけになる場所は与えられるよね。
――GKを目指す子どもが多いということは、コーチの配分など、かける人数も違うんですか?