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“Fワード”で怒りをぶちまけ、チームに謝罪…スペインGPの舌禍でルーキー角田裕毅が学んだこととは
posted2021/05/14 06:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
角田裕毅が謝罪した。
「今日の自分のコメントについて謝罪したい。チームを批判するつもりはなかった。彼らは週末を通して素晴らしい仕事をしている。僕はただ、自分のパフォーマンスに苛立っていただけなんだ。明日は全開で攻めていく」
いったい、彼に何があったのか。
問題は、第4戦スペインGPの予選後に起きた。前日のフリー走行で7番手のタイムを記録していた角田は、この日の予選でQ3進出となるトップ10内を目指していた。ところが、Q1の1回目を終えて11番手にとどまった角田は、2回目のアタックで自己ベストを更新したものの、ライバルたちが角田を上回るペースでタイムを更新していったため16番手となり、まさかのQ1落ちとなってしまった。
予選後、イギリスのテレビ局のインタビューに角田はこう答えた。
「同じセットアップで走っていても、(2人のフィードバックが)いつも真逆といってもいいくらい違う」
じつは角田は、1週間前のポルトガルGPでも同じコメントを残していた。滑りやすい独特の路面に苦労し、終始、ポイント圏外での走行を強いられた角田は、15位でフィニッシュした後、ひとりしかいない日本人メディアの筆者に、こう不満をぶちまけた。
「チームメートとクルマに関するフィードバックが違っていて、毎回、真反対のフィードバックが来ている。(チームメートの)オンボード映像を見ていても、全然(自分とは)動きが違う。セットアップが同じなのに、真反対のフィードバックっておかしいじゃないですか」
マシンの状況は大きく改善されず、角田の怒りは1週間後、海外のメディアを通して世界中に伝わることとなった。しかし、問題となったのはこのコメントに続いた、次のひと言だった。
「(チームメートと)同じマシンなのか少し疑問に感じる。もちろん同じだけど、マシンの特徴が違いすぎる」
ドライバーにあるまじき冷静さを欠く発言
角田は開幕戦以降、走りだけでなく、さまざまな発言でも注目を集めていた。ルーキーにも関わらず、渋滞に引っかかったときの攻撃的な無線は、海外のテレビコメンテーターからも「アイ・ラブ・アングリー・ツノダ」(怒った角田は最高だね)と話題となったほどだった。
しかし、そんな海外のメディアも「チームメートと同じなのか」という今回のコメントに関しては否定的だった。なぜなら、チームが2人に平等にマシンを準備するというのは、F1の根本的なフィロソフィだからだ。