先に記したように大阪でCS出場経験があるのは、伊藤とブラウンのみ。特別な舞台での経験不足が懸念されるが、竹野ACは「だからこそ」と語気を強めて言う。

「どの試合、どの状況、どの会場であろうと、ただひたすらに今までやってきたことを、どれだけやり続けられるか。それを理解して、プレーできるかどうかなんです。CSの試合だから昂ぶったりすることもあるでしょうが、その状態のなかで、どれだけ今までやってきたプレーをひたすら繰り返してやるかがキーだと思います。僕も選手のころから、普段とまったく違うプレーをしているチームが崩れて負けていくのを見てきました。

　コーチにはいろんな考え方の人がいて、特別なステージになれば奇策を用いる人もいれば、淡々と同じことをする人もいる。その部分に関して僕と天日さんは、同じような考え方をずっと持っています。それをもとに、選手たちに『こうすればCSでも問題ないんだ』と思わせられるように働きかけていきたい」

指揮官が描く物語の結末

　天日HCと竹野ACのコンビはカテゴリーこそ違えど、B2の西宮ストークス時代にポストシーズンゲームに進出し、優勝を果たしている。そしてbjリーグ時代から幾度も大舞台でチームを率いた天日HCの経験値も、大阪のアドバンテージになるだろう。2シーズンでチームをここまで作り上げた指揮官は、今季の大阪の物語の結末をこう描いている。

「相手にどう対応するかより、自分たちがやらないといけないことを正しくやる。相手に合わせてリアクションするのではなく、自分たちからアクションする。それが大事だと思っています。今季の僕らは強豪相手にも勝つなど、着実に力をつけている。CSでダークホースになるのが、今季のいちばんいいストーリーじゃないですか。チャンピオンを目指して集まってくる強豪に、大阪とやるのは嫌だと思わせ、僕らが相手を食う。それがいちばんいいストーリーだし、実現させたいと思っています」（天日HC）

　大阪の、今季最後の冒険が始まる。