「BTSのダイナマイトって、知ってます？」

　まだ、食ったことないなぁ……。

「いや、それ、食べものじゃなくて、ダンスの曲なんで」 

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　笑っている顔が、ほんとにおかしくて笑っている。噛めば噛むほど……そういうヤツだ。

「踊るのも好きなんですけど、リズム感っていうんですか。（野球で）打つのも守るのも、リズム感とかタイミングとか大事じゃないですか。フットワークとか、身のこなしとか、フットワークで上体を動かす機能とか、結構、野球にもつながることがあると思うんです」

　まったくその通りだと思う。たいしたもんだ。

　それはそうとして、「ダイナマイト」って、どんな踊りよ……ちょっとだけ踊ってみて。

「ここで、やるんですか？　みんな見てるし、監督も後ろにいるし。恥ずかしいっす」  

　ちょっとだけだから……サビのとこだけでいいからさ。

　三代祥貴、二死満塁で見逃し三振したみたいな顔になってしまった。

右打ち野手では「全国でも3本の指に入る」

　まっすぐなライナー軌道の遠投で、およそ80m。マウンドに上がれば、144キロまで出したことがあるという。右足の肉離れさえなかったら、50mを6秒1で駆け抜ける快足も見せてもらえたのに……。

　胸囲は軽く100cmを超えるという屈強な体躯で、ホットコーナーを守る。最近、とんといなくなった「強打の三塁手」だ。

　握力がよくわからないというから、全力で握手してもらった右手の骨が、1日経ってもまだ痛む。軽く「70キロ」は超えているはずだ。

　九州全土から県大会を勝ち上がった19チームが大分に結集した「九州大会」。

　好選手は何人もいたが、見る者の血液を逆流させてくれるような、とんでもないヤツは、実は球場の“外”にいた。

　昨秋の九州大会には出場したものの、惜しくも1回戦で敗退。まったく無名の存在ではあるが、右打ちの野手で走・攻・守の総合力なら、あそこに1人いて、こっちにもう1人いて……全国でも3本の指に入るのではないか。

　大分商・三代祥貴、出会いは思いがけず、突然やってきた。