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「能力は村上宗隆、安田尚憲に匹敵する」(スカウト談)…ドラフト1位候補の超高校級大型スラッガー阪口樂とは何者か?
posted2021/04/30 11:02
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
「甲子園に出ていないから一般的な知名度はありませんが、能力は村上宗隆、安田尚憲、清宮幸太郎に匹敵するものがありますよ」
あるスカウトがそう口にするように、岐阜第一の阪口樂(さかぐち・うた)は高校ナンバーワンスラッガーの声も挙がるほどの、今秋のドラフト上位候補だ。
身長187センチ、体重90キロという恵まれた体格から強烈な打球を放ち、高校通算本塁打は21本(2021年4月28日現在)。コロナ禍による練習試合や公式戦の減少もあったことを考慮すると、決して少ない数字ではない。何よりその豪快な打撃はどのドラフト候補よりも圧倒している。
中日5位・加藤翼との真っ向勝負
1年春からベンチ入りした阪口は、その年の夏の県予選3回戦・市岐阜商戦で本塁打を放つなどすぐに頭角を現し、1年秋から中軸を担う。
大きなインパクトを残したのは昨夏の独自大会だ。エースナンバー「1」を背負って投手として奮闘するだけでなく、打率.563、4本塁打、9打点の大暴れで4強入りに貢献。
特に準決勝進出をかけた帝京大可児戦では、初回に逆方向の左中間スタンドに飛び込む本塁打を放つと、最終回には加藤翼(20年ドラフト中日5位)との真っ向勝負に挑んだ。加藤の151キロ、150キロのストレートを冷静に見極めて2ボールを選ぶと、3球目の149キロのストレートを弾き返し、打球はライトスタンドへ。「投げも投げたり、打ちも打ったりですね」とテレビ中継の解説者も唸るほど、胸のすく対決だった。
阪口もまた「ここで打ったら自分も加藤さんのように注目される」と奮い立たせた上での一発で、これには加藤の視察に訪れていたスカウトたちも心を奪われた。