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【前例なき挑戦】現役ラグビー選手がなぜレフェリーに? 31歳滑川剛人が「よくしゃべる」理由…目標はW杯と“脱TMO”
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2021/04/15 11:01
トップチャレンジ―リーグ近鉄vsコカ・コーラ戦でレフェリーを務めた滑川剛人 (中央)
では、レフェリーとしての目標は? その問いには「2023年、2027年のワールドカップにレフェリーとして、アシスタントレフェリー(副審)じゃなく主審として立つのが自分の使命だと思っています」と即答が返ってきた。
「僕自身、ラグビー選手のセカンドキャリアの幅を増やせることになるんじゃないかと思ってレフェリーを始めたんだし、日本ラグビーのためにも、日本協会のためにも。やるからにはそこ(ワールドカップ)を目指そうと思った。そのためには、会社にも、チームにも、協会にも、ここはサポートしてくださいとお願いしています」
必要なことは遠慮なく要求する。良い意味の図々しさもまた、滑川の武器である。
目指すは「TMOを使わない」レフェリーだ。
「トライは絶対に自分の目で見て判定したいです。近鉄とコカ・コーラの試合でも、全部のトライを1メートル以内のところで直に見て判定しようと心がけたし、TMOを使わないですめばそのほうがいい。そこはプレーヤーとして持っているセンスだと思う。それを活かして、みんながラグビーを楽しめたらいいかな」
選手が殺気立たず、危険なプレーに走らない空気を作り、どんな展開でも走ってボールに追いつき、すべてのトライを目で確認し、自信を持って判定する。そんなレフェリーがいたら、ラグビー観戦はますます楽しくなるだろう。選手にとってはなおさらだ。
ただし、現役のプレーヤーである滑川は、このプレーオフで笛を吹くことはない。当面は、この滑川の言葉を聞いた現役レフェリーの奮起を、そしてレフェリー経験で深みを増した滑川のプレーをじっくりと楽しむとしよう。