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25歳で「クビになる可能性」を意識した脱臼から復活… 関根大気が“DeNAの粘り役”になれたワケ【3月に入籍】

posted2021/04/12 11:02

 
25歳で「クビになる可能性」を意識した脱臼から復活… 関根大気が“DeNAの粘り役”になれたワケ【3月に入籍】<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

関根大気はDeNAで生き残るため、日々努力し続けている

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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Sankei Shimbun

 潮風にのって関根大気の登場曲であるDUFFの『ひとりじゃない』が横浜スタジアムに響き渡ると清涼感が漂い、そしてふと胸が熱くなる。173cmの小柄な関根が両手でバットのグリップを強く握りしめバッターボックスに入る。ここは"約束の場所"だ――。

 入団8年目にして初めて手に入れた開幕スタメン。関根は、2番打者として開幕から6試合連続安打をはじめ犠打や進塁打、走塁、打席での粘りなど三浦大輔新監督が目指しているとおぼしき野球の一端を表現する選手として存在感を示している。

 この数年、自分の野球人生を深く鑑み、結果、アピールすることも競い合うことも意識の外に置き、野球を始めたころのように"純粋に楽しむこと"にマインドシフトすることで手に入れたという現在の状況。関根にあらためて「野球を楽しんでいますか?」と尋ねると、爽やかな笑顔で返してくれた。

「はい、楽しんでいますよ」

 そう言うと次の瞬間、少しだけ表情を曇らせた。

「けど、勝たないと……。チームが勝つことで"楽しさ"は膨れ上がったり、倍増したりするので、やっぱり勝ちたいですよね」

「開幕スタメンを獲れたのは特別だし」

 話を訊いたタイミングは開幕からの連敗の渦中だった。やはり勝ってこそ野球であり、勝利に貢献してこそ喜びは具体性を増す。

 とはいえ、ついに掴んだ8年目の開幕スタメン。支えてくれた家族や多くのファンに向け約束していた大切な場所。ようやく辿り着いたといった感じだろうか。

「そうですね。自分としてはもっと早くから活躍したかったというか、結果を残すためやってきたなかでこのタイミングになりました。過去には戻れませんし、今ある最短の8年目でこうやって目標にしていた開幕スタメンを何とか獲れたことは自分のなかでも特別だし、嬉しかった出来事でしたね」

 関根は、独特の言い回しで喜びを露わにした。

 これまでの関根を振り返れば、常に台頭することを望まれていた選手だった。

【次ページ】 中畑監督時代には“グリーンライト”だった

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