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大谷翔平もビックリ!? 「野球で甲子園、水泳で五輪」を目指す“二刀流”高校1年生がいた!…受け入れる学校「私たちにとっても挑戦」 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2021/04/06 17:02

大谷翔平もビックリ!? 「野球で甲子園、水泳で五輪」を目指す“二刀流”高校1年生がいた!…受け入れる学校「私たちにとっても挑戦」<Number Web> photograph by Yu Takagi

強豪・京葉ボーイズでは3番を任された光永翔音(15歳)。バットと一緒に手にするのは水泳でジュニアオリンピック3位に輝いた賞状だ

 欧米などでは季節によって競技を変えることはあるが、野球と水泳の「二刀流」でここまでトップレベルを極めようとするケースはあまり聞かない。だが、光永はシーズン通してどちらの練習も行うべく、「野球で甲子園、水泳で五輪」を目指せる稀有な環境と、前代未聞の挑戦を受け入れてくれる日本大学豊山高校へ入学した。

 朴訥とインタビューに答える光永だが、「野球と水泳、どちらが好きと聞かれたら何と答える?」と何度も答えてきただろう質問を投げれば「答えられないから今こうしています」と、間髪入れずに話す。「2つやってもいいんだという第一人者になりたいです」と話す口調には熱がこもる。

 日大豊山の硬式野球部は2000年夏に甲子園初出場を果たし、近年も東東京大会での上位進出が珍しくない。そして水泳部は全国有数の超強豪だ。スイミングクラブでの指導が主流となった中で、「部活動」として練習するチームでは日本一と言って過言ではなく、インターハイは総合優勝10回で現在3連覇中。先日東京五輪の日本代表入りを果たし、“高校生オリンピアン”と話題を集めた柳本幸之介らが在籍し、過去にも多くのトップ選手を輩出している。

受ける入れる側にとっても「挑戦」

 二刀流を目指す光永の入学は、受け入れる側にとっても前例のない挑戦だ。スケジュールについて水泳部の竹村知洋監督は「野球部と相談しながらになるのですが、今想定しているのは、朝練は水泳、放課後は主に野球。大会についてはその時々で本人の希望やチームの状況を見て決めようと思っています」と話す。

 団体競技の野球部も光永の姿勢を全面的にサポートする。福島直也監督は「彼の才能を伸ばすのはウチの高校でしかできないことだと思います」と話し、力を込めて続ける。

「野球だけという時代じゃないし、これからは多様性が大事な時代。“どちらかに絞りなさい”ではなく、“そういう子がいてもいいんじゃないか”と思うんです。我々の器量も試されますよね。私たちにとってもこれは挑戦ですし、彼の挑戦をサポートできることはありがたいです」

【次ページ】 二刀流決断の裏に、自覚と謙虚な姿勢

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