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動画投稿で青森の高校生ラガーマンが「大学からオファー」獲得! アピールの場を失った学生を救う新ツールって?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byL)Sapporo University R)Sanbongi Agricultural High School
posted2021/03/26 17:00
Bリーグ入りを目指してHANDS UPを利用する札幌大学・木村涼(左)。三本木農業高校の新堂大河、佐々木治人(右)両名のもとには異なるエリアの大学からオファーが届いた
すでにオファーが届いた学生も
「我々の学生時代にはなかった新しいシステム。大きな可能性があって、すごく楽しみです」
その可能性に期待するのは、香川・坂出第一高バスケットボール部の伊藤哲郎監督だ。
「私自身は関西出身ですが、四国に来た時に感じたことはスカウト、チーム関係者が少ないことでした。このHANDS UPで選手のモチベーションが上がるのではないかと期待しています」
そもそものアピール機会が少ないところへ、20年はコロナ禍があって「スカウトの方にまったく見てもらえない状況」(伊藤監督)になった。生徒の発奮材料に苦慮する状況もあり、21年1月にリリースされたHANDS UPは渡りに船だった。
HANDS UPは21年秋以降の本格運用を目指しており、現在のシステムは今後アップデートしていくベータ版だ。しかしすでにオファーがあった高校生もいる。
こちらは青森県の三本木農業高ラグビー部。
HANDS UPを通して東海地方の大学から、プロップの新堂大河、ナンバーエイトの佐々木治人の2名にオファーがあった。ラグビー部の苫米地衆侯監督はこう語る。
「20年は東北新人大会も中止になり、花園(全国高校ラグビー大会)の県予選も無観客でした。見てもらう機会がなかったので本当に良かったです」
投稿を通して「自分と向き合う」
ただ苫米地監督は、大学からのオファーだけが利用の目的ではなかった。投稿用の動画制作を、チームビルディングとして活用した。
「HANDS UPに投稿するプレー動画は、選手たちに編集させました。動画制作を通じて自分の強み、弱みを把握できるからです。そこに加えて『仲間の選手の強み、弱みも見つけてみよう』と伝えました。気付いていなかった仲間の長所を発見したりして、今までにないチームビルディングになりました」
前出の坂出第一高バスケ部の伊藤監督も「社会に出るための準備になり、進路以外の部分でもポジティブ」と教育的価値を見出していた。工夫次第で社会科の授業にもなるというわけだ。