2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「アキナやからし蓮根なんて女子アナと結婚してるんすよ」“東京芸人”ウエストランドが語るM-1「悪口ネタ」の原点
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/03/14 11:01
ウエストランドの井口浩之(左)と河本太。M-1決勝は今回が初めてだった
井口 芸人だったら、そうであれ、と思いますけど。復讐劇という言葉は、もともと「高学歴の芸人とか、スポーツできる芸人はウゼえ」みたいなことを言うネタの中で出てきたセリフなんです。「学生時代誰とも付き合ったことないようなやつしかお笑いやっちゃダメなんだ!」とか、「何かのスポーツで全国大会に行ったようなやつは芸人になるな!」みたいなことも言っていましたね。
――そのネタ、おもしろそうですね。
井口 一瞬でできましたよ。悪口の羅列なんで。
――ウエストランドのネタは、細いところは、本番ギリギリまで調整するらしいですね。
井口 僕らのネタは時事ネタみたいなところもあるので、古いことを言っても気持ちが乗らないじゃないですか。その都度、ギリギリまで練ってますね。
ファイナリストで僕らが一番くすぶってた
――M-1準決勝後、ファイナリストが発表されましたが、呼ばれた順番はいちばん最後でした。エントリーナンバーの「3473番……」と言われたときは、まだ反応できずにいましたね。
井口 番号を覚えてなかったんです。僕はR-1ぐらんぷりも含めて、これまで何度か準決勝まで勝ち上がっているんですけど、たとえば3473番だと覚えていると、「ラスト1組です。2千……」と言った瞬間につまらなくなるんで。早く絶望したくないんで。だから覚えないようにしていて、番号だけ聞いてもわからなかったんです。
――名前を呼ばれた瞬間は?
井口 「やった!」というよりは、ホッとしましたね。安堵感といいますか。ファイナリストの中で、僕らがいちばんくすぶっていたと思うんです。まずまずのところに行くのは早かったけど、そこから決勝までが長かった。何となく名前は知ってるけど、そこまで売れてないコンビって、いちばんつらい立場なんです。発掘感もないし、大物感もない。だから、なかなかテレビで出番をもらえない。そういう意味では、M-1の存在は、本当にありがたかったですね。純粋にネタだけを見てくれる感じがあったので。
2年前に逃げられて…「嫁は芸人を憎んでます」
――河本さんは名前を呼ばれてからもピンときてない様子でしたが。