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開幕前のJクラブ、コロナ対策をどう進めた? FC東京キャンプは“基本黙食”、部屋割りなども工夫が【写真あり】
posted2021/02/22 17:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
F.C.TOKYO
いつもなら他愛のない会話が飛び交う団らんのひとときなのに、静まり返っている。
全員が前を向き、黙々と食事をする様子は、ちょっと異様だったかもしれない。
1月下旬から2月半ばに掛けて、Jリーグの各チームがトレーニングキャンプを行なった。世の中はコロナ禍の真っ只中だが、2月末のシーズン開幕を控え、キャンプを張ってチーム作りを進めないわけにはいかない。
どのチームも細心の注意を払って日程を消化したが、沖縄でキャンプを張ったFC東京も、そうしたチームのひとつだ。
キャンプも半ばに差し掛かった頃、キャプテンの東慶悟がこう語っていた。
「県外から来て、沖縄で感染を広めるようなことはあってはならない。ましてや僕らは感染者が最も多い東京から来たわけですから。受け入れてくれた沖縄の方々、ホテルの方々のために、節度のある行動を心がけています」
マスクの常時着用はもちろんのこと、移動の飛行機では一般客と隣り合わせにならないよう後方にまとまって座った。朝と晩には必ず検温し、消毒はまめに行ない、1週間に一度、PCR検査も受けている。
横並びで前を向いて食べて、なるべく喋らず
なかでも、もっとも変わったのが、食事会場の風景だ。
「例年なら5、6人で円卓を囲んで食べるんですけど、今年は横並びで前を向いて食べていて、なるべく喋らず、食べ終わったらすぐに部屋に戻るように言われています。食事を取りに行くときは、マスクとビニール手袋をその都度、着けないといけない」
過去のキャンプでは選手たちが気軽にやって来て、談笑したり、身体をほぐしたりするストレッチルームを用意していたが、今回のキャンプでは設けていない。
マッサージルームも例年ならひと部屋に4台のベッドを置いてフル稼働させていたが、今回はふた部屋に分けて密になるのを避け、施術を受ける選手しかマッサージルームに滞在できないルールにした。むろん、マッサーも手袋とマスクの着用が義務付けられている。